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がん

がん5年生存率66.1%に上昇

2019年08月10日

2009年~2010年にがんと診断された患者の5年生存率が66.1%に上昇したことが、国立がん研究センターから発表されました。昨年の集計と比較すると、0.3%上昇しています。

部位別では、前立腺がんや乳癌では、初期の発見ではほぼ治癒出来ることを示していますが、一方で膵臓がんでは初期発見でも生存率は低く、臓器別で著しい差が見られます。

高齢化に伴いがんの罹患率はさらに上昇することが予想され、確率的には2人に1人となります。故に、自分でできる罹患予防の生活改善をしておくことが必要です。喫煙や深酒を止め(タバコと酒で食道がんのリスク増喫煙で遺伝子変異)、バランスの良い食事(がん患者における糖質制限とケトン生成食への異議)、適度な運動を習慣づけましょう(がん・予防(4))。本ブログを参考にしていただければ幸いです。

* 上皇后様が比較的早期の乳癌を手術されるとの報道がありました。1日も早い全快をお祈りします。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

がん患者における糖質制限とケトン生成食への異議

2017年12月20日

今年も残すところ僅かとなりました。本ブログには沢山のアクセスがあり、また無料健康相談も多くの方々にご利用いただきまして、有り難うございます。健康相談の内容で多かったのは、がんに関するものでした。近年では、がんは二人に一人が罹患し、三人に一人が亡くなる疾患ですから、ご相談の件数が多くなります。その中で、治療中や予防における「糖質の制限とケトン生成食」に関するご相談があります。研究者の中には、がん患者は糖質を制限して、ケトン生成食(脂肪とタンパク質)にすべきとの意見がありますが、私はこの意見には反対であり、3代栄養素(糖質、タンパク質、脂質)のバランスを大きく崩すべきでないと考えています。この意見の相違を解説します。

糖質制限とケトン体食の主張

がん細胞は、通常の細胞と比べると3~8倍くらい多くのブドウ糖を消費して、爆発的な速度で増殖します。従って、栄養源であるブドウ糖を与えなければ、がん細胞は飢え死にするとの考えです。さらに、肉や脂肪などのケトン生成食からは、がん細胞は栄養を補給できないが、正常細胞では栄養源となるので、ケトン生成食にすることで正常細胞だけが生き残るとの論理です。

異議

確かに、がん細胞はブドウ糖をエネルギー源として増殖しているので、上記の論理によりがん細胞が飢え死にして、回復しそうな気がします。しかし、この理論は実験室のシャーレの中で培養しているがん細胞を死滅させることは出来るでしょうが、複雑な人間の身体を維持するには当てはまりません。なぜなら、ブドウ糖を制限するとがん細胞は飢え死にしますが、その前に正常細胞の方が先に飢えて死んでしまいますので、生命を維持出来ません。さらにがん細胞は、ケトン生成食を栄養源として利用できないとのことですが、脂肪とタンパク質だけでも生き延びることが出来るという研究報告があります。さらに、糖質制限とケトン生成食では、米や果物などを全て絶ち、脂肪とタンパク質だけの食事になりますから、栄養のバランスを崩してしまい、回復力が低下します。

免疫力と体力をつける食事

がんと闘うには、免疫力と体力をつけることが不可欠です。そのためには、糖質としての炭水化物や良質のタンパク質、腸内細菌を活性化する発酵食品、抗酸化力を高める野菜や果物などをバランス良く摂取するべきです。加えて、ウォーキングやラジオ体操などの有酸素運動で、代謝活性を促進させることが、がんと闘うためには必要です。(がん・予防(1)、(2)(3)(4)

将来的に、ご自身や家族ががんとの闘病になったとき、どちらの主張が正しいかを吟味して対応して下さい。

* 健康で幸せな年をお迎え下さい。

 

血液1滴で13種類のがんを早期発見のマイクロRNA法が臨床研究へ

2017年08月01日

血液1滴で13種類のがんを早期発見できるマイクロRNAが、来月から国立がん研究センターで臨床研究が始まり、3年以内の実用化を目指します。この方法は、本ブログの2014年1010日:がん・予防(2)の中の④最新のがん検査(マイクロRNA)で紹介しました。測定原理は、がん細胞と正常細胞では遺伝子の働きを調節するマイクロRNA(短いRNA)の種類が異なり、その違いはがんの初期段階であるステージ1でも高確率で検出できます。13種類のがんの検出率は95%以上で、乳がんでは97%です。

マイクロRNA実用化

 

これまでのがん検診では、乳がん検診のマンモグラフィーに特徴的なように、陽性であるにもかかわらず検出できずに手遅れになるケースも見られており、その結果としてがん検診の受診者と受けないグループでは死亡率に差がありませんでした。2017210日:乳がん検診:マンモグラフィーの問題点20131010日:がん検診で死亡率は低下しない

このマイクロRNA法によるがん検診が定期検診や人間ドックに取り入れられると、患者さんの肉体的負担は低減し、がんによる死亡率の大幅な減少が期待できます。さらに、米国立衛生研究所の小林博士の研究しているがん細胞の光治療は、外科手術の必要が無く高確率で完治できるのですが、こちらの臨床研究も進み実用化も近い様です。近い将来に、がんは“治る病気”になるでしょう。2015710日:がん治療の最新研究(がん細胞の光治療&微少カプセル治療法)

 

がん研究最前線: ③ がん細胞狙い撃ちの放射線治療

2016年06月20日

放射線治療には、X線、γ(ガンマ)線、電子線などがあり、陽子線や重粒子線による治療が一部の施設で行われています。放射線治療の利点は、手術によって切除することなく臓器をそのまま残すので、がんになる前と同じようにしておけることです。逆に、放射線治療のデメリットは、正常組織への被ばくによる食欲不振や吐き気、倦怠感、血小板や白血球の減少、放射線被ばくによる二次がん発症などがあります。従って、がん細胞のみに作用する放射線治療が望まれていました。

ガドリニウム

東京大学などの研究チームが、がん細胞のみを狙い撃ちする放射線治療を発表しました。造影剤に使う金属ガドリニウムを、がん細胞に集まりやすい成分で作ったナノカプセルに包んで投与すると、MRIでのがん組織の撮影が可能になります。さらに、患部に中性子線を当てると、ガドリニウムがガンマ線を放出するので、がん組織にのみ狙い撃ちに放射線治療が可能になります。同じような中性子を使った治療方法として現在はホウ酸を用いていますが、ガドリニウムからのガンマ線のほうががん細胞の死滅作用が強いことと、同時に画像も得られる利点があります。

中性子線を用いるので、一般病院での実用化にはまだハードルもあるのですが、小型の中性子線装置の開発も進んでいます。近い将来は、副作用の少ない放射線治療の方法となる研究です。

がん研究最前線: ① 悪性度も見分ける造影剤

2016年06月01日

”がんの検査で汎用されているPET-CTは、目印を付けたブドウ糖を注射すると“がん”に集まるので、全身をCT撮影して目印のブドウ糖を探せば、“がん”の有無に加えて位置や大きさも捉えることができます。PET-CT検査では、5 mm程度のがんの発見が可能です。

東京大学などの研究チームが発表した新たな造影剤を用いる方法では、1.5 mmのマウスの転移肝がんを確認できた上に、その悪性度も検知できています。その原理は、図のようになっています。がん組織は酸素濃度が低いので、悪性度が高い程酸性に傾いています。そこで、酸性状態で溶けだすリン酸カルシウムと造影剤のマンガンイオンを微小なカプセルに閉じ込め、患者に投与します。この微小なカプセルは、正常な組織では血管から漏れませんが、“がん”組織の血管では比較的大きな穴があるので、ここから漏れ出て周囲の“がん”細胞へ届きます。カプセル内にある造影剤のマンガンイオンをMRIで撮影することにより、ごく初期の“がん”細胞を見出すことが可能で、さらに悪性の場合にはより強く反応します。

マンガン造影剤

この方法を用いると悪性度もわかるので、治療方法の選択や予後の経過予測がより正確になる事が期待できます。