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インフルエンザ

抗インフルエンザ薬:ゾフルーザ

2018年11月20日

11月も終盤になり、これから冬本番に入っていきます。冬に気をつけたいことの一つは、インフルエンザです。最も重要なのは感染しないための予防で、基本はワクチンです。自分で出来ることは、うがいと手洗いですが、水のペットボトルを持ち歩いてこまめに水分補給することで喉を湿らせておくと、感染予防になりますので、是非試してみてください。

運悪く感染してしまった場合は、抗インフルエンザ薬が使われます。これまではタミフルやリレンザが汎用されていましたが、今年は新薬のゾフルーザの使用が増えてきそうです。その理由は、効きが早く、1回の服用で良いことです。

抗インフルエンザ薬の作用機序は、ウイルスの増殖を抑えることです(殺しているのではありません)。これまでの抗インフルエンザ薬は、感染して細胞内で増えたウイルスが他の細胞へ拡散するのを押さえ込む作用でした。従って、増えたウイルスが細胞の外に出てくるまで効果がないので、時間がかかっていたのです。新薬のゾフルーザは、細胞内で増えるのを抑え込むので効果が早く、タミフルなどと比較すると1~2日回復が早まります。尚、インフルエンザウイルスの量は感染から2日で最大になるので、抗インフルエンザ薬を使用する場合は感染から2日以内でないと効果がありません。

本ブログで度々書いている基礎知識ですが、インフルエンザウイルスに抗生物質は効果がありません。一般の風邪の原因も約90%はウイルスです。また、解熱剤で平熱まで下げてしまうと、免疫力が低下して治りが遅れます。以前の本ブログを参考にしてください(風邪への対処法解熱剤で免疫低下風邪とインフルエンザ(予防)風邪とインフルエンザ(罹患時の対処))。

10代へのタミフル再開

2018年06月10日

インフルエンザに罹患した子供がタミフルを飲用後にベランダから転落するなどの異常行動が相次いで報告され、2007年から10代への投与が原則禁止されていました。しかし、タミフルを飲用していない場合や他の薬を服用していた場合にも同様の異常行動が認められることから、タミフルが異常行動の原因とは結論づけられないために、10代への投与が再開されることになりました。

インフルエンザに感染して異常行動をとるのは、殆どが10代の男の子です。異常行動を取るメカニズムは未だ不明ですので、感染した場合は、飛び降りなどの事故を防ぐために窓やドアの鍵をかけて置くことが必要です(風邪とインフルエンザ)。

健康クイズ ① 冬に多い疾患

2018年03月01日

健康長寿には、知識が必要です。本ブログの読者の方々は、普段から勉強されていることでしょうが、このクイズで確認してください。

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問題① 風邪やインフルエンザの感染予防のうがいは

a.  ヨードのうがい薬でないと効果が無い

b.  水道水でOK

 

問題② 風邪やインフルエンザの感染予防には

a.  こまめに水をのむ

b.  1日1本の栄養ドリンク

 

問題③ 風邪やインフルエンザの感染予防には歯磨きが

a.  有効

b.  関係ない

 

問題④ 風邪やインフルエンザには抗生剤が

a.  効く

b.  効かない

 

問題⑤ 風邪やインフルエンザで熱が38度近くになったら

a.  解熱剤で平熱まで下げる

b.  暖かくして休む

 

問題⑥ インフルエンザの予防注射をすると

a.  感染することは絶対にない

b.  感染する確率が低くなるだけ

 

問題⑦ インフルエンザに感染して回復すると

a.  免疫ができるので二度と感染しない

b.  再度感染する可能性はある

 

問題⑧ ロタウイルスで下痢したら

a.  下痢止め薬を飲む

b.  排便する

 

問題⑨ ロタウイルスで下痢したら

a.  水分を控える

b.  水分を補給する

 

問題⑩ ロタウイルスで下痢した時に良い飲み物は

a.  栄養のある牛乳

b.  スポーツドリンク

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正解① 風邪やインフルエンザの感染予防のうがいは

b.  水道水でOK

うがい薬と水道水のどちらが感染予防効果があるかを研究した京都大学での結果は、水道水の方が感染率が低く予防効果があるという報告でした。その理由は、うがい薬のヨードは殺菌性の効果の裏側で、喉の粘膜を傷つけてしまうことや、口内の常在菌のバランスが崩れて、感染を引き起こしやすくなるのです。毎日のうがいは、水道水でOKです。

 

正解②   風邪やインフルエンザの感染予防には

a.  こまめに水をのむ

喉には細菌やウイルスなどの外敵を体外に排泄する繊毛があるのですが、水分を摂り湿らすことで機能がアップします。飲水時に、喉に付着している細菌やウイルスが胃に流れ込んでも、胃液の強酸で死んでしまいます。

 

正解③ 風邪やインフルエンザの感染予防には歯磨きが

a.  有効

歯周病の原因菌のひとつであるグラム陰性菌が出す毒素で粘膜が破壊され、風邪やインフルエンザの病原菌がとりつきやすい環境がつくられます。実際、65歳以上の在宅介護者190名を対象にした調査で、正しい口腔ケアを行うと、インフルエンザ罹患率が10分の1になったと報告されています。歯磨き、歯間ブラシ、糸ようじで口腔内を清潔にしましょう。

 

正解④ 風邪やインフルエンザには抗生剤が

b.  効かない

抗生物質は細菌を殺す薬剤なので、ウイルスには効果はありません。風邪の約9割は、ウイルス感染が原因です。インフルエンザもウイルスなので、抗生物質は効果がありません。

 

正解⑤ 風邪やインフルエンザで熱が38度近くになったら

b.  暖かくして休む

罹患して発熱するのは、熱に弱いウイルスを弱らせているのと、免疫を担当する白血球の活性を上昇させるためです。例えば、体温を36.5℃から37.5℃に1℃上昇すると、免疫力は5~6倍上昇します。従って、解熱剤で平熱まで下げてしまうと、回復が遅れることになります。インフルエンザの場合には、これ以上に発熱することが多いので、解熱剤を使用して38℃くらいにまで下げることはOKです。使用には担当医の指示を受けて下さい。

 

正解⑥ インフルエンザの予防注射をすると

b.  感染する確率が低くなるだけ

インフルエンザのワクチンは、感染の確率を約50%程度低くする効果はありますが完全ではなく、接種しても発症する場合もあります。ワクチンを接種しても発症する因子は、①接種したワクチンが感染したウイルスと異なるタイプの場合。②感染予防の効果は、接種後約2週間から6ヶ月の期間のみなので、接種直後や半年以降は効果は無い。③接種による免疫がつきにくい体質などが考えられます。特に、子供は免疫がつきにくいので、2回の接種が必要です。

 

正解⑦ インフルエンザに感染して回復すると

b.  再度感染する可能性はある

インフルエンザウイルスにはA型とB型があり、それぞれに有効な抗体が違います。ひとつのシーズンにA型とB型のインフルエンザにそれぞれ感染することがあります。また、インフルエンザウイルスは毎年のように変異するため、抗体が有効なのはそのシーズンの間のみです。

 

正解⑧ ロタウイルスで下痢したら

b.  排便する

下痢の症状は、ロタウイルスのような有害な外敵を、下痢便として体外に排泄しています。下痢止め薬の使用は、有害な外敵を体内に留めておくことになるので、症状は悪化します。尚、下痢便の中には大量のウイルスが存在しますので、感染をしないように処理して下さい。

 

正解⑨ ロタウイルスで下痢したら

b.  水分を補給する

下痢便として多量の水分が失われますので、その分を補給しないと脱水状態になってしまいます。特に、子供は大人よりも水分量が必要ですから、十分な量の水分補給が必要です。

 

正解⑩ ロタウイルスで下痢した時に良い飲み物は

b.  スポーツドリンク

真水よりも電解質を含んだスポーツ飲料の方が体内への吸収率が大きく、効果的です。また、下痢では水分と共にカリウムが失われます。スポーツ飲料やリンゴジュースなど、カリウムを含む飲料が有効です。

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何問正解できましたか?理由まで答えられれば完璧です。次回も続きます。

 

 

 

 

 

 

 

 

風邪とインフルエンザ(罹患時の対処)

2017年12月10日

3.症状が軽度なら入浴可

風邪をひいたときでも、入浴してさっぱりしてから寝たいものです。症状が軽度なら入浴しても可ですが、そのおおよその基準は熱が38℃以内で、酷い悪寒や倦怠感がない場合です。これ以上の症状がある場合には、体力を消耗することで状態が悪化する可能性がありますので、入浴は控えましょう。

入浴するときの注意点は、脱衣場や浴室を暖めておいて、身体を冷やさないことが大切です。湯温は、熱いと体力を消耗しますので、ぬるめにします。入浴後は、湯冷めを防ぐために、早めに布団に入りましょう。

4. 解熱剤は免疫力(回復力)を低下させる

風邪やインフルエンザに感染したときは、発熱する場合が多いのですが、その時に使う解熱剤は、正しい使い方をしないと逆に回復を遅らせることになります。

罹患して発熱するのは、免疫力を高めて回復するための反応なのです。即ち、ウイルスは熱に弱いので、体温を上げることでウイルスを弱らせているのです。さらに、免疫を担当する白血球は、体温が高い方が活性が上昇します。例えば、体温が36.5℃から37.5℃に1℃上昇すると、免疫力は5~6倍上昇します。従って、解熱剤で平熱まで下げてしまうと、回復が遅れることになるので、38℃くらいまでは解熱剤は使用しない方がより早く回復します。インフルエンザの場合には、これ以上に発熱することが多いので、解熱剤を使用して38℃くらいにまで下げることはOKです。

5. 風邪薬は症状を抑えているだけ

風邪薬(総合感冒薬)は、咳、鼻水、発熱、喉の腫れなどの症状を緩和する成分が入った薬剤で、服薬するとこれらの症状は緩和します。症状が治まっていても、風邪の原因となっているウイルスをやっつけた訳ではありません。症状が改善しても治ったと勘違いせずに、安静と栄養補給を心がけて下さい。

6. 抗生物質は風邪やインフルエンザのウイルスには効果無し

風邪やインフルエンザに罹患したときに、病院から抗生剤を処方された経験はありませんか?抗生物質は細菌を殺す薬剤なので、ウイルスには効果はありません。最初に述べたように、風邪の約9割はウイルス感染が原因です。インフルエンザもウイルスなので、抗生物質は効果がありません。医師の中には、ウイルス感染時は体力が低下しているので他の細菌の感染を予防する意味で処方している場合や、何か薬を処方しないと患者が納得しないという理由で効果の無い抗生物質を処方している場合などがありますが、医療費の無駄遣いになっています。(風邪には抗生物質を使わない

7. 抗インフルエンザ薬はウイルスの増殖を抑える(殺す作用はない)

治療薬として使われている抗インフルエンザ薬(リレンザ、タミフルなど)の作用は、ウイルスを殺しているわけではなく、増殖を抑えているのです。この作用により、回復までの期間を早くすることと、重症化を防ぐ目的で使用されています。ウイルスの増殖は、発症後48時間(2日)程度でピークに達し、その後は免疫力により減少しますので、これ以降は投与しても意味がありません。抗インフルエンザ薬を使用する場合は、発症の当日または翌日までです。インフルエンザに罹患した場合は、回復までには一般的に1週間程度かかりますが、抗インフルエンザ薬の投与により4~5日になりますので、2~3日短くなる程度です。

8. 窓やドアの施錠(異常行動による転落事故の防止)

インフルエンザ感染者では、異常行動による転落事故が多数報告されています。その殆どは子供で、男の子が殆どです。この異常行動は、抗インフルエンザ薬を投与した患者に多いのですが、使用していない患者にも見られており、原因はまだ解明されていません。従って、インフルエンザに感染した子供(特に男の子)の場合は、異常行動による転落事故を未然に防ぐために、窓やドアを施錠しておくことが必要です。親御さんはお子さんの行動に気をつけて観察して下さい。

免疫力の向上!

風邪やインフルエンザに罹患しないための基本は、うがいと手洗いですが、重要なことは普段の生活で免疫力を高めるような習慣をつけることです。バランスの良い食事、適度な運動、規則正しい生活です。特に受験生にとっては大切な時期ですので、健康管理に努めましょう。(受験生の健康管理

 

 

風邪とインフルエンザ(予防)

2017年12月01日

今日から12月になり、本格的な寒さの季節になりましたので、風邪やインフルエンザの感染に注意が必要です。風邪の原因の約9割は、ウイルスの感染が原因です。ウイルスが喉や鼻の粘膜に感染して増殖し、炎症を起こすことで鼻水や発熱、頭痛などの症状を引き起こします。インフルエンザもウイルスなのですが、風邪と比較すると、その進行が急激で、発熱や咳、頭痛や筋肉痛などの症状が極めて重いことで区別されています。

風邪やインフルエンザの予防や対策には「知識」という武器が必要です。そこで、知っているようで意外と知らない基本的な知識を解説します。

1.うがいは水道水

かぜやインフルエンザの予防の基本は、うがいと手洗いです。では、毎日のうがいは何でしたら良いのでしょうか?うがい薬?水道水?のどちらが有効と思いますか?答えは、意外にも水道水なのです。うがい薬はヨードを含んでおり、ウイルスにも効果があるとされていますので、有効性が高いイメージがありますし、テレビCMでも宣伝しています。しかし、このヨードは両刃の剣です。殺菌性の効果の裏側でその刺激性が原因となって喉の粘膜を傷つけてしまうことで、感染し易くなるのです。もう一つの理由は、腸内細菌叢と同じく、口の中にも常在菌がいて、そのバランスが風邪やインフルエンザの侵入を防いでいるのですが、ヨードの殺菌性のために常在菌のバランスが崩れて、感染を引き起こしやすくなるのです。うがい薬と水道水のどちらが感染し難いかを研究した京都大学での結果は、水道水の方が感染率が低く予防効果があるという報告でした。毎日のうがいは、水道水でOKです。

インフルエンザのワクチンは、感染の確率を低くする効果はありますが完全ではなく、接種しても発症する場合もあるのです。一般には、ワクチンの予防効果は50%程度です。その意味は、接種していない100人の内10人が発症したと仮定すると、ワクチンを接種した場合には100人中5人が発症するので、予防効果は50%という解釈です。ワクチンを接種しても発症する因子は、次のように幾つかあります。①接種したワクチンが感染したウイルスと異なるタイプの場合。②感染予防の効果は、接種後約2週間から6ヶ月の期間のみなので、接種直後や半年以降は効果は無い。③接種による免疫がつきにくい体質などが考えられます。特に、子供は免疫がつきにくいので、2回の接種が必要です。

この様に、ワクチンを接種しても感染する人と、逆に接種しなくても感染したことがない人がいます。一般的に、感染し難い体質の人は適度な運動を習慣化していることや、規則正しい生活とバランスの良い食事をしている場合です。ワクチンを接種した人もしない人も、普段の生活パターンを整えて、感染予防に心がけることが必要です。

次回は、感染後の対処について解説します。