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肥満

長生きの体型は小太り

2013年08月30日

では、実際に長生きなのはどんな体型なのでしょうか?脳卒中や心臓病の既往歴のない30歳以上の日本人8924名を対象として、BMIと死亡率の関係を19年間にわたり調査すると、BMIが23~24.9で死亡率が最も低く、BMIが21.0~22.9ではこれとほぼ同等でした。これらの範囲より太っていてもやせていても死亡率が高く、特にやせている方が太っているよりも死亡率が高くなることが分かったのです。つまり、日本では肥満とされるBMI25より少し下で死亡率が低いのです。健康な65~79歳の日本人26747名を対象として平均11.2年の追跡調査でも、BMI 20~29.9の死亡率が低いことが分かりました。また、この範囲より太っていてもやせていても死亡率が高く、壮年者を含めた先の研究結果と同様、特にやせている方が太っているよりも死亡率が高くなることが確認されました。

他にも沢山の研究があります。1995年~2006年に宮城県内の40歳から79歳の男女約5万人を対象に追跡調査を行い、BMI別の平均余命を割り出したところ、最も長生きできるのはBMI25以上30未満の人でした。米疾病対策センターが医学誌に発表した最新のレポートでも、肥満指数(BMI)が25~30未満の「過体重」のグループの方が、BMIが18.5~25未満の「普通体重」のグループよりも死亡リスクが6%も低いという結果でした。この研究は、北米や欧州、南米、アジアの100件近い研究データから成人約290万人を分析したもので、信頼度が高いうえに、あらゆる人種で普遍的に認められる結果といえます。

*BMI:ボディマスインデックス(body mass index)の略で肥満度の指標です。BMIは、「体重(kg)/身長(m)の二乗」から求められ、世界的な基準では25以上が過体重、30以上が肥満とされていますが、日本では25以上を肥満と定義しています。

つまり、どちらかと言えばやや太めの方が長生きするので、過度なダイエット志向に警鐘をならすものです。長生きしたけば、やせ過ぎは避けるべきなのです。なぜ肥満者のほうが長生きするのでしょうか?その説として、

①太めの人は痩せている人に比べて免疫力が高く、感染症にもかかりにくい。

②コレステロール値も高いほうが、頑丈な体を作るのに不可欠な細胞膜やホルモン、ビタミンDを多く作ることができる。
③脂肪の蓄積があったほうが満足に食事の摂れない病気に罹った時でも生き残れる。
④肥満者のほうが平時から体のメンテナンスに気を遣うので、病気を早期発見できるなどの可能性、が挙げられます。

 厚生労働省が如何にいい加減な根拠で病人作りをしているかを、ご理解いただけたことでしょう。後に、沢山の国民を病人に仕立て上げる方法を詳しく説明します。

腹囲(メタボ検診)に根拠なし

2013年08月20日

偉い役人たちが利権を確保するために如何にいい加減なことをしているのかの代表的事項は、メタボ検診です。メタボ検診とは、ご存じの通り、2008年(平成20年)4月1日から義務化され、腹囲(男性 85cm以上、女性 90cm以上)、血糖値(空腹時血糖値100mg/dl以上またはHbA1c 5.2% 以上)、高脂血症(中性脂肪150mg/dl以上またはHDLコレステロール 40mg/dl未満)、血圧(収縮期血圧130mmHg以上または拡張期血圧85mmHg以上)を測定するものです。メタボ検診を始めるに当たっては、その意義を心血管死亡率の低下などをうたっていました。しかしながら、その根拠は非常に乏しいのです。

例えば、腹囲で考えてみましょう。身長180cmで筋肉質のスポーツマンの腹囲が86cmとします。身長からすると非常にスマートで、何の問題もありませんが、メタボ検診ではアウトなのです。逆に、身長150cmで腹囲が89cmの主婦ではどうでしょうか?これは、メタボ検診の腹囲はクリアーしていますが、どう考えても健康的とは言えません。この様に、腹囲の基準は疑問符が沢山つくのです。しかも、腹囲がメタボ健診の必須項目になっているのは、世界中でも日本だけなのをご存知ですか?海外では、腹囲はメタボ健診の1つの因子にはなっていますが、必須項目ではありません。しかも、アメリカ人は体格が大きいので男性の腹囲は100㎝なのです。ならば、日本人でも体格の良い人は100㎝でなければいけないと思うのですが、、、、、

メタボ検診が有用なのか、根拠の無いものなのか検証すべき事項は、身長、体重、血圧、空腹時血糖、中性脂肪、HDL コレステロール、LDL コレステロールの測定に加えて、腹囲を測定するこが心血管イベントの発生を予測するために有用であるかどうかという解析です。多目的コホート研究*では、危険因子の集積による全死亡と心血管死亡の絶対数と相対危険度を、肥満者と非肥満者で比較した数値を示しています。それによると、男女とも肥満者と非肥満者で相対危険度は差がなくて、絶対数は非肥満者の方が逆に多かったのです。

*(JPHC 研究;生活習慣についての情報を集め、10年以上の長期にわたって疾病の発症に関する追跡を行うことによって、どの様な生活習慣が疾病の発症に関連しているのかを明らかにすることを目的とした研究。全国11保健所と国立がん研究センター、国立循環器病研究センター、大学、研究機関、医療機関などとの共同研究)

読売新聞は、平成22年2月9日の夕刊に「メタボ腹囲根拠なし」という見出しの記事を掲載しました。これに対して、厚生労働省は平成22年2月16日にこの報道を批判した通知を出したのです。しかしながら、これまでの研究で、2月9日の読売新聞夕刊の「メタボ腹囲根拠なし」という見出しは的確なことはあきらかです。腹囲測定は無駄であり、メタボ健診も無駄ということになるのです。読売新聞への官僚の報道批判は、逆に官僚の墓穴を掘る結果となっていました。

 では、何故にメタボ検診が制度化されたのでしょうか?それはメタボ検診が病院や製薬会社にとって最もおいしい分野だからです。つまり、①高血圧、高血糖、それに高脂質血症は患者が多いのです。(後に説明しますが、実は患者を多く作っている。)商売をされている方はみなさんが希望するように、沢山のお客さんが欲しいのです。その点では、この項目は千万人単位のお客を抱えている分野なのです。②次に、この疾患は直ぐには完治しません。治療には長期間かかるので、その間はずっとお得意様でいてもらえるのです。特に、高血圧で投薬が始まると、一生薬はやめられませんと言われる患者さんが沢山います。本当は、食事や運動などの生活指導で降圧剤を止められることも多いのですが、そんなことをしてはお得意様を無くすことになるので、殆どの医療機関では生活指導をすることは無いのです。③加えて、これらの患者は緊急性や重症化していないことが殆どなので、命にかかわることがありません。従って、専門でない医師が多少マトを外れた治療をしても死ぬことはないし、訴えられる危険性もありません。この様に、メタボ検診は医療関係者にとって最もおいしいのです。