夜更かしの高齢者は認知症のリスク高い

2018年06月20日

夜更かしをする75歳以上の高齢者は、認知症になるリスクが高いことを、国立長寿医療研究所などの研究チームが日本老齢医学会で明らかにしました。

この研究は、65歳以上の4268人を対象にして、起床や就寝時間と認知症の発症との関連を解析しています。その結果、4年後までに認知症を発症した人は、75歳以下では起床や就寝時間との関連は認められていません。しかしながら、75歳以上では午後9~11時に就寝する人に比べて、午後11時以降に就寝する夜更かし型の人は認知症のリスクが1.83倍も高い事が認められています。

夜更かしで認知症のリスクが高まる原因は明らかになってはいませんが、体内時計の乱れを指摘しています。従って、規則正しい生活で、早寝早起きの習慣が健康維持には必要ですが、これが認知症の予防にも有用と考えられます。認知症の予防と改善には、水分をこまめに摂取することも効果的であることが報告されています(認知症の予防と改善に水)。早寝早起きも水分摂取も、お金はかからずに誰にでもできることですから、是非試してみて下さい。

10代へのタミフル再開

2018年06月10日

インフルエンザに罹患した子供がタミフルを飲用後にベランダから転落するなどの異常行動が相次いで報告され、2007年から10代への投与が原則禁止されていました。しかし、タミフルを飲用していない場合や他の薬を服用していた場合にも同様の異常行動が認められることから、タミフルが異常行動の原因とは結論づけられないために、10代への投与が再開されることになりました。

インフルエンザに感染して異常行動をとるのは、殆どが10代の男の子です。異常行動を取るメカニズムは未だ不明ですので、感染した場合は、飛び降りなどの事故を防ぐために窓やドアの鍵をかけて置くことが必要です(風邪とインフルエンザ)。

孤食(ひとりぼっちの食事)が週の半分超は15%に増加

2018年06月01日

政府が閣議決定した平成29年度の食育白書によると、一日の食事の全てを一人で済ませた頻度は、週に4~5日が4.3%、殆ど毎日が11.0%で、両者を合わせると全ての食事を一人で摂る日が週の半分を超える人は15.3%を占め、23年度の調査から5ポイントも増加していました。単身赴任や核家族化の増加で、孤食はさらに進行するものと予測されています。

孤食になる理由としては、時間や場所が合わない(35.5%)や、一緒に食べる人がいない(31.1%)などがありました(複数回答)。孤食の問題点は、食事の内容が単品になり易いために、果物や野菜が不足し、栄養の偏りも起こりやすい傾向があります。その結果、生活習慣病などに陥りやすくなることが予測されます。

最近では、大学の食堂でもボッチ席で一人で昼食を摂っている学生が増えていますが、同じ食事内容でも大勢で食べた方がより美味しさを感じやすい事が知られています。仕方なく孤食になる場合は、自分の食べる姿を鏡で見るだけでも美味しさが増す事も報告されています(孤食でも鏡を見ると美味しくなる)ので、試してみてください。今後は、家庭や職場、地域などで食事を共にする機会作りを考えることが必要になっています。

 

遺伝性乳癌はもう一方も予防的切除を推奨(日本乳癌学会)

2018年05月20日

日本乳癌学会は、遺伝子変異による乳癌を発症した患者では、未だ癌になっていない側の乳房も予防的に切除することを「強く推奨する」としました。

乳癌は女性に最も多いがんで、乳癌の年間発症者は約8万人にのぼります。このうち遺伝性の乳癌は5~10%を占めており、BRCA1またはBRCA2と呼ばれる遺伝子に変異の認められる女性の場合は乳癌になりやすく、生涯のうちに40~90%の高い確率で乳癌を発症します。従って、遺伝子変異の認められる乳癌を発症した場合は、再発防止の観点から、もう一方の未だ発症していない乳房も、予防的に切除することを強く推奨するとしています。この予防切除で10年後の生存率を、切除しなかった71%から89%に上昇するという英国の研究結果があります。

生存率が上昇することは結構なことですが、問題点も考えられます。第一に、予防切除は健康保険の適用外ですので、自費負担額は約150万円と高額です。第二には、切除しなくても再発しないかもしれませんので、心理的に女性のシンボルである乳房はできる限り切除したくないと考える方も多くいます。予防切除は、健康保険の適用で安価にできるように健康保険制度を改正することと、心理カウンセリングが十分に行われることで女性患者の心理的負担が取り除かれることが必要です。

 

抗生剤使用の乳幼児はアレルギー疾患の発症リスクが1.7倍

2018年05月10日

2歳までに抗生剤を使用した乳幼児は、使用経験のない乳幼児と比較すると、喘息やアトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患の発症リスクが1.4~1.72倍に高まることが、国立成育医療センターの研究チームから報告されました。

調査は2歳までに抗生剤を使用した436人と、服用経験のない466人を、5歳時点での喘息や鼻炎、アトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患の発症率の差を比較しています。その結果、抗生剤を使用したグループではアレルギー疾患の発症率が有意に高まることが確認されました。特に、抗生剤の中でも多種類の細菌に対して効果を発揮する第3世代のセファロスポリンの使用では、効く細菌の少ないペニシリンと比べると、喘息で1.63倍、鼻炎では3.14倍もアレルギー疾患を発症しやすいと報告されています。他の研究でも、抗生剤の使用で食物アレルギーの発症率が高まるとの報告もあります。

アレルギー疾患の高まる原因として考えられるのは、抗生物質の使用で免疫を担う腸内細菌が死滅してしまうことが考えられています。細菌感染による肺炎や敗血症などの重傷疾患では抗生剤の使用は不可欠ですが、風邪などの抗生剤の必要のない症例での使用を控えることが求められます。(風邪には抗生物質を使わない風邪への対処法風邪とインフルエンザ抗生物質の多用で耐性菌