謹賀新年 (美露仙寿の研究論文発表)

2016年01月01日

新年明けましておめでとうございます。本年も健康ですごせますように!

新年早々に、美露仙寿(めいるせんじゅ)の研究論文が医学雑誌の「未病システム学会雑誌」に掲載されたお知らせです。美露仙寿は、7種類の漢方成分を濃縮した健康飲料で、その効果を崇城大学と共同研究してきました。前回の「医学検査」に投稿した論文では、免疫力の増進作用を中心に、食欲増進や疲労回復作用などに関する基本的な効果をまとめました。今回は、病気の前段階である未病への有効性を解析し、健康維持に有用であることを示しました。

論文題目: 7種漢方健康飲料の未病改善効果

執筆: 國香 清1) 周 建融2) 横溝 和美2) 宮田 健2)

1) 国際漢方研究所医療学術部門 2) 崇城大学薬学部未病薬学研究室

論文の内容を簡単に紹介します。美露仙寿を継続飲用している方と飲んでいない方の合計615名にアンケート調査しました。その結果を医学統計学的に解析すると、美露仙寿を継続飲用している方は、明らかに便秘、冷え性、肩こりの未病が改善していました。その改善効果は飲用量依存的だったので、美露仙寿が作用していることが確認されています。美露仙寿の未病への作用機序の要因として、腸内細菌の善玉菌(乳酸菌)を増やして腸内環境を整えることと、血流を改善させることを、マウスの実験で示しています。

未病は、健康と病気の間に分類される東洋医学独自の考え方で、西洋医学では病気とはみなされていません。しかしながら、未病を放置すると種々の病気に進行することや、未病の段階でも不快感を伴い生活の質が低下しますので、改善が不可欠です。未病の改善には、基本的にはバランスの良い食事と有酸素運動ですが、美露仙寿がアシストしてくれます。

今年も、健康増進に役に立つ記事の執筆をしていきますので、本ブログのご愛読をお願いいたします。また、(株)国際友好交易は、皆様の健康増進のために無料の健康相談を行っています。健康講演会も全国で開催しています。ご希望がありましたら、本社または営業担当者にご相談ください。

ゆず湯

2015年12月20日

今年もあと僅かになりました。日が短くなり、寒さが増してくると、温かい風呂が最高です。昔から、冬至(12月22日)にゆず湯に入ると、1年間風邪をひかないといわれています。ゆずには血行を促進して冷え性、神経痛、腰痛の緩和、風邪の予防効果などがあります。さらには、果皮に含まれるクエン酸やビタミンCによる美肌効果、香りによるリラックス効果もあるため、元気に冬を越すために役立ちます。ゆず湯にのんびりとつかると、体も心もリラックスして長生きできそうな気分になれます。

注意すべきは、冬の風呂場には危険が潜んでいることです。最も多いのは、ヒートショックです。寒い脱衣所で急激に上昇した血圧が、熱い湯で一気に低下することで失神して溺れる事故です。入浴中の急死は年間1万7000人程度で、そのうち浴槽内で溺死と確認された人は年間4000人以上もいるのです。昨年の交通事故の死者数は4100人ですから、入浴中の死亡者数は非常に高い数字です。なお、入浴中の死亡者は60歳以上の高齢者が殆どで、高血圧の人ほど血圧変動が大きいので注意が必要です。また、飲酒のあとの入浴も、血管が拡張するので血圧が下がり易く、危険性は増加します。年末年始はお酒を飲む機会が増えるので、酔った状態での入浴は控えましょう。

今年も1年間にわたり、本ブログをご愛読いただきまして、有難うございます。読者の皆様の健康増進のお役にたてていれば幸いです。また、無料の健康相談も実施していますのでご利用ください。では、良いお年をお迎えください。

アスピリン(鎮痛解熱剤)の大腸がん予防効果と危険性

2015年12月10日

アスピリンの大腸がんへの予防効果の臨床試験が、国立がん研究センターなどの20施設で始まりました。対象は、大腸がんになる危険性が高い大腸ポリープを切除した40~69歳の7000人です。

アスピリンは、解熱鎮痛剤として汎用されていますが、他にも血栓防止薬としても心疾患などの患者で用いられています。臨床医は以前から経験的に「アスピリン常用患者には大腸がんが少ない」ことを感じていたので、これまで両者の関係は小規模に検討されていました。英国の研究グループが、本年9月の医学雑誌「セル」にアスピリンが大腸がんを抑制する機序を発表しています。即ち、がん細胞は、免疫抑制物質のプロスタグランジンE2(PGE2)を作って、T細胞による免疫の攻撃を避けて生き延びています。アスピリンは、PGE2を産生する物質(COX-1およびCOX-2)の働きを抑制するので、がん細胞は免疫の攻撃を受けて衰退する機序です。この機序通りに、アスピリンで大腸がんが予防や治療できれば大きな成果です。

しかしながら、度々書いているように、薬には効果の反面としての副作用があります。予想させるアスピリンの副作用は、大きく3つが考えられます。第1に、胃の障害を引き起こす可能性が高いことです。特に、ピロリ菌感染者では出血性の胃潰瘍などの確率が高まりますが、日本人の中高年では半数以上がピロリ菌の感染者です。第2に、アスピリンは血液の凝固を阻害して出血傾向が高まるので、脳内出血が増えることや交通事故等の出血では命の危険性が高まります。第3に、解熱作用で体温が低下すると、免疫力の低下を招いて感染症の可能性が高まります。

臨床研究自体は、意味があると思います。しかし、実際に使用すべきか否かは、アスピリンによる大腸がんの予防効果と副作用による危険性のどちらが重いかの結果次第です。私の基本的な考え方は、薬よりも食生活の改善や運動などによる免疫力向上と定期健診で対応すべきです。

「血圧120 mmHg未満で病死27%減」の本当の意味

2015年12月01日

医学研究者なら誰でも知っている世界の一流医学雑誌のNew England Journal of Medicineに、「血圧120 mmHg未満で病死27%減」に関する論文が発表されたことを、多くのメディアが報じました。この題目だけなら、血圧は低くした方が良いと受け取れますし、私が本ブログで書いてきた「中高年の血圧130~150 mmHgは薬不要」という記事は間違いなの?と思われるかもしれません。しかし、この論文の中身を正しく理解していただければ、血圧を120 mmHg以下にする必要はないことがお解りいただけます。

この研究では、患者群を血圧140 mmHg以下にする群(4678名)と、120 mmHg以下にする群(4683名)の2群に分けています。両群の人数は、ほぼ同じです。3年半の研究期間の後に、140の群では210名(4.5%)が死亡し、120の群では155名(3.3%)が死亡しています。従って、(4.5-3.3)÷4.5=0.27 (27%)から、120の群で死亡率が27%減少したとの結論に至っています。確かに、計算は間違いではありませんが、実際に差があるのは210-155=55人なので、4600名からみると僅かに1.2%の差しかありません。この手法は、研究者が自分の研究成果を誇張したい時に用いて、インパクトを大きくしているのです。

逆に、急性腎不全および急性腎障害で救急搬送された患者は、120以下の群では2倍近くおり、低血圧で救急搬送された患者も1.5倍多くなっています。この一因として、降圧剤を多量に使用することの副作用が考えられます。また、両群の肥満度の指数であるBMIは、29.8と29.9の著しい肥満患者です。このBMIは、日本人の一般的な身長である175 cmでは体重が92 kgに相当します。BMI>30の肥満率は、アメリカ人では35~36%と高いのですが、日本人では3~4%程度と低いので、この患者群での研究結果をそのまま日本人にあてはめるのは適当ではありません。この英語の論文を原文で読む日本人は殆どいないのを良いことに、製薬会社や病院に都合の良い情報のみがメディアで報じられているのです。

日本人を対象としたこれまでの研究で、降圧剤で血圧を20 mmHg以上下げる群では、20以内の低下群と比較すると、脳梗塞発症率が高くなり、総死亡率が1.5~5倍も高くなっています。さらに、転倒や交通事故の確率が増加し、うつ等による自殺や認知症に成り易いことが知られています。これは、血圧が低すぎることで脳の神経細胞に栄養分や酸素が十分に供給されないことによると考えられます。

本ブログでこれまで書いてきたように、中高年の血圧130~150 mmHgは問題ありません。降圧剤による大幅な血圧の低下は逆に危険が多いので、肥満の解消や有酸素運動での血流改善を基本に考えてください。製薬会社や病院に都合の良いメディアの情報を鵜呑みにせず、薬は必要最小限度に!

トイレ後に手を洗わない人は15%

2015年11月20日

食中毒の原因で過半数を占めるノロウイルスは、12月から3月の冬場に多く発生し、嘔吐や下痢、腹痛などを起こします。ノロウイルスにはワクチンが無いので、感染した場合は輸液などの対症療法しかありません。従って、抵抗力の弱い乳幼児や高齢者は、重症化し易いので注意が必要です。ノロウイルス感染者の糞便には、1 g 当たり数億個のウイルスが含まれています。このうち、僅か10~100個程度が感染すると発症します。主な感染経路は、経口感染ですから、頻繁な手洗いが有効な防御手段になります。

消費者庁が2000人の男女を調査した結果、トイレ後に手を洗わない人は、大便後、小便後、大小便後を合わせると15%にもなっていました。また、家庭での食事の前に必ず手を洗うのは52.6%のみで、約半数の方は手洗いをしていませんでした。

駅やスーパーマーケットのトイレでは、用便後に手洗いをしない人をよく見かけるので、上記の倍くらいはいる様に感じています。なお、トイレで手洗いをした後でも、ドアノブや照明スイッチなどは感染源になる可能性が高い場所です。従って、食事の前には更に手洗いが必要です。また冬場になると、デパートや公共施設などの入り口にアルコールが設置してある場合があります。ウイルスは、アルコールでは死なないので、手洗いがより有効です。感染防止の観点から、手洗いを習慣化してください。