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健康管理

身体機能を維持向上した高齢者は死亡リスクが低い

2016年12月20日

今年も残すところあと僅かになりました。人生の流れの中で、最も大切なのは自分と家族の健康です。今年も健康に過ごせたことに感謝し、そして来年も健康が継続するように、生活習慣をチェックしていきましょう!

健康維持には、バランスの良い食事と適度な運動が不可欠なことは、本ブログで度々書いてきました。適度な運動で身体機能を高めておくことが死亡リスクを低減させる研究結果が、東京都長寿医療センター研究所から国際医学誌に発表されています。研究内容は、65歳以上の高齢者1048人を対象にして、視力、歩行速度、片足立ちの時間を測定し、10年の測定期間における死亡数との関係から解析しています。その結果、視力の低い人の死亡リスクは高い人よりも2.4倍、歩行速度の遅い人は2.2倍、片足立ちでは2.5倍、それぞれ死亡リスクが高くなっていました。

この研究が示しているのは、適度な運動をして身体機能を高めておくことで、死亡リスクを低減して元気で長生きできるということです。高齢期に身体機能を高く維持しておくためには、若いうちから運動を習慣づけておく事が大切です。朝夕の散歩や、通勤の途中で一駅前から歩く、職場では階段を昇るなど、忙しい中でも出来ることがあります。もちろん、高齢期に入ってから始めても効果が期待できます。自分のために、そして家族のために、健康寿命を延ばしましょう!

本年も本ブログにお越しくださいまして、有り難うございました。本ブログが、読者の方々の健康の維持増進にお役に立っていれば幸いです。健康で良いお年をお迎えください。

鳥インフルエンザ

2016年12月10日

ヒトのインフルエンザが流行していますが、鳥のインフルエンザも全国各地で報告されています。鳥インフルエンザとは、A型インフルエンザウイルスが鳥類に感染して起きる鳥類の感染症です。

一般的には、鳥インフルエンザウイルスがヒトに直接感染する能力は極めて低く、感染してもヒトからヒトへの伝染は起こりにくいと考えられています。しかし、養鶏場などで感染した鳥と濃密に接触した場合など、大量のウイルスとの接触では感染するケースも稀に報告されています(処理をする場合には、防護服と手袋着用が必要です)。

食品中に鳥インフルエンザウイルスがあっても、十分に加熱すれば感染性がなくなるので、鶏肉や鶏卵を食べることによって人に感染したという事例の報告は有りません。また、市販されている卵は全て洗浄された上で流通しているので、生卵を食べても鳥インフルエンザに感染する確率は著しく低いと考えられます。

この様に、通常の市民生活を送る上では鳥インフルエンザウイルスの感染を恐れることはないのですが、可哀そうなのは巻き添えで殺処分されてしまうニワトリたちです。養鶏場で鳥インフルエンザウイルスの感染が確認された場合の対策は、発生地点から5~10 km 範囲のニワトリ等を直ちに全て殺処分することしかないからです。私たちのために毎日卵を提供してくれるニワトリたちにも、感染予防の方法が出来てほしいものです。

 

 

長引く風邪症状は? 非結核性抗酸菌症、マイコプラズマ肺炎

2016年12月01日

インフルエンザが例年よりも早く流行しています。この季節に咳や熱などの症状があると、最初にインフルエンザを疑いますが、インフルエンザは一般的には1週間から10日程度で回復します。2週間以上にわたって咳や熱が続いている場合は、非結核性抗酸菌症やマイコプラズマ肺炎の可能性があります。

非結核性抗酸菌症とは、結核菌以外の抗酸菌の感染で起こる病気です。主に気管支や肺に炎症を起こすことで、咳が長引きますが、結核のように周りに感染させることはありません。患者は、中高年に多く、男女比では女性の方が多い傾向があります。抗生剤が効きにくいので、治療は長期になることがしばしばです。対策は、治療と並行して免疫力を高めることが必要ですから、バランスの良い食事や規則正しい生活です。

マイコプラズマ肺炎は、マイコプラズマの感染で秋から冬にかけて増加する感染症で、子供や若者に多く見られます。症状は発熱と咳ですが、咳の特徴として乾いた咳で痰を伴わないのが特徴です。周りに感染させる可能性がありますので、感染防止の対策としてうがいや手洗いを心掛けてください。

非結核性抗酸菌症とマイコプラズマ肺炎は、近年増加傾向にあります。普段から感染防止のための健康管理が重要ですので、本ブログを参考にして免疫力を高めていただければ幸いです。

 

抗インフルエンザ薬はコスパ悪し ⇒ 感染防止が重要

2016年11月20日

11月の終盤になり、インフルエンザが流行する季節になってきました。現時点では、例年の5倍も感染者が増えているそうですので、要注意です。インフルエンザに感染した場合には、抗インフルエンザ薬(タミフル、リレンザなど)が汎用されています。抗インフルエンザ薬は、インフルエンザウイルスを殺す薬ではなく、増殖を抑えるものです。従って、インフルエンザに感染した初期の段階で投与することで、ウイルスの増殖が抑えられるので、回復までの期間が短縮し、重症化を防ぐために使用されます。感染してからの期間が長くなると、既にウイルスの量が増えてしまっているので、抗ウイルス薬としての効果はありません。

インフルエンザの感染で、抗インフルエンザ薬を使用しなかった場合に重症化して入院する確率は2.11%ですが、抗インフルエンザ薬を使用することで0.37%に低下させることになります。従って、抗インフルエンザ薬が重症化を防いで入院患者を減らしていることは間違いありません。ですが、入院患者を1人減らすために必要な抗インフルエンザ薬の値段を計算すると、約20万円にもなるのです。製薬会社や医療機関の収入面からみればOKですが、コスパとしては決して良いものではありませんので、感染しないように防御することが重要です。

風邪をひいて熱を出した時には、抗生物質と解熱剤とおもわれている方もいるようですが、風邪の90%程度はウイルス性なので、抗生物質は効きません。また、熱が出るのはウイルスが熱に弱いので、体の防御反応として熱を出しています。故に、解熱剤で平熱にしてしまうと、免疫力が低下して回復が遅れます。高熱で解熱剤を使用する場合は、37~38℃位までの薬量にします。(本ブログ2013年12月10日の風邪への対処法、2014年6月1日の解熱剤で免疫力低下)

インフルエンザは、予防注射で感染する確率を下げることができます。1回の注射では感染を約50%程度減少させ、2回注射では70~80%程度低下させるのですが、予防注射を2回しても4~5人に1人は感染します。予防注射は、午後よりも午前中にすると抗体価が高くなりやすくてより感染しにくくなりますので、午前中に実施している病院を選んでください。。

私たちの防衛策として、うがい、手洗い、水分補給、部屋の加湿、有酸素運動やバランスの良い食事による体力増強などで、感染しないようにしましょう。うがいは、喉が腫れて痛い時などはうがい薬を使いますが、通常の健康状態のときは水道水でOKです。殺菌作用のあるうがい薬を健康時から常用していると、有用菌まで殺してしまうので、逆効果になるからです。こまめな水分補給は、喉の菌やウイルスを洗い流すのに有効で、飲み込んで胃に入ると胃酸で死んでしまいます。食事は、体を温めるものを摂って、食後にはヨーグルトなどの乳酸菌で免疫力を鍛えましょう。私の研究している漢方飲料の“美露仙寿”(めいるせんじゅ)は、免疫細胞の活性化や基礎代謝の向上、乳酸菌の増加作用などが確認されています。多くの愛飲者から、風邪をひかなくなったとのお声をいただいています。特にこの時期は、受験生にもお勧めです。

喫煙で遺伝子変異

2016年11月10日

タバコの喫煙本数が多いほど、喫煙期間が長いほど、遺伝子に変異が起きる確率が増すことを、国立がん研究センターと理化学研究所などの研究チームが、アメリカの科学誌サイエンスに発表しました。

世界の5243人のがん患者を、タバコを吸う人と吸わない人に分けて遺伝子データを解析した結果、肺、咽頭、口腔、膀胱、肝臓、腎臓のがんでは、喫煙者で遺伝子の変異が多い結果になっていました。特に喫煙との関連が指摘されている肺がんでは、毎日20本(1箱)を1年間吸うと、150個の遺伝子変異が蓄積すると推計されています。遺伝子の変異があった場合には、体の防御作用が働いて、変異を修正してがん化を防いでいるのですが、変異数が多くなると修正作業が間に合わなくなってきます。その結果、喫煙による遺伝子変異から肺がんに進行していくと推測できます。肺がんの年間患者数(死亡者数)は、男性 9.0万人(5.5万人)、女性 4.3万人(2.2万人)と、罹患率も死亡者数も多いがんです。喫煙は、百害あって一利無しですので、禁煙しましょう。