カテゴリー
健康管理

米国の大手飲料メーカーで糖分削減

2016年11月01日

アメリカの大手飲料メーカーのペプシコは、飲料品の3分の2以上の製品で砂糖によるカロリーを制限すると発表しました。アメリカでは、糖分の多い飲料水に課税する動きが高まっていることと、消費者の健康志向の高まりで砂糖を敬遠する傾向がみられるためです。

毎日のように飲んでいるコーラやジュースには、どの位の糖分が含まれているかご存じですか?想像以上に多いので、下の表に示します。500mlのコーラには56.5g、ファンタグレープには350ml中に45.2gも糖分が含まれています。マックシェイクのLサイズでは、111gになります。ご飯は茶碗1杯(約150g)で炭水化物が約55gですから、糖分に換算すると同じく55gに相当します。従って、コーラは茶碗1杯のご飯と同等で、マックシェイクはご飯2杯分に相当します。砂糖の量をイメージするために、角砂糖の個数でも示します。角砂糖は、一個が約4グラムです。コーラやジュースが如何に沢山の糖分を含んでいるかがご理解いただけるでしょう。

WHO(世界保健機構)では、1日の砂糖摂取量は25gまでが望ましく、50g以内に抑えるべき言っています。500mlのコーラ1本は56.5gの糖分を含んでいるので、1日分の摂取量を超えてしまいます。炭酸飲料などが多くの糖分を含んでいることを、意外と意識しないで飲んでいるので、これらはペッ トボトル症候群の発症原因にもなります。ペットボトル症候群とは、清涼飲料水をたくさん飲み続けることによって発症する急性の糖尿病です。ペットボトルで飲むことが多いことから、この名がついています。糖分が多く含まれる飲料を毎日飲み続けると、血糖値が上がった状態が長く続き、インスリン作用が不足して糖尿病を発症します。

WHO(世界保健機構)によると、糖分の多い炭酸飲料水に20%以上の課税をすれば、消費が落ち込んで、肥満や糖尿病が減少すると報告しています。アメリカのでは炭酸飲料以外に、スナック菓子、ファーストフード、揚げ物などのジャンクフードにも課税の傾向が広がっています。他にも、デンマークの脂肪税(乳製品、食用油、肉、ジャンクフード類など)、ハンガリーのポテトチップス税などがあります。健康を守るための方法として課税されることにはいささか疑問がありますが、飲料メーカーとしては課税を避けて、消費者の健康志向にあいまった方法として、飲料の糖分制限に舵を切っています。

私たち消費者としては、課税等に関係なく、自分自身で計算して飲食する習慣をつけいものです。健康は最大の財産です。

毎日8000歩で死亡リスク半減

2016年09月20日

暑さ寒さも彼岸までというように、快適な季節になりました。秋の空の下を歩くと、気持ちまで秋晴れになってきます。こんな季節に、ウォーキングを毎日の習慣にしたいものですね。

歩くことが健康に良いのは周知の事実ですが、長期にわたる解析データでこれを証明した研究はこれまで殆どありませんでした。愛媛大学の研究グループは、10年間にわたり歩数と寿命の関係を、1999年に71歳だった男女419人で解析しました。対象者は、1日の平均歩数により4つのグループに分けられ、それぞれの死亡率をし調べました。その結果、10年の調査期間内に亡くなったのは76人で、最も死亡リスクの高いのは1日4500歩以下の歩数の少ないグループでした。逆に、死亡リスクの最も低いのは毎日8000歩以上歩くグループで、その危険リスクは4500歩以下のグループの半分以下でした。すなわち、毎日の歩数が多くなると死亡リスクが低くなり、毎日8000歩以上歩けば長生きできる可能性が高まるということです。

歩くことが健康に良い理由は幾つか挙げられますが、主要因子は足の筋肉量です。足の筋肉量は、20歳代をピークにして徐々に低下し、50歳代では5~10%の低下、80歳までにはさらに30~40%も低下します。足の筋肉量が低下することで、足から心臓への血液の戻りが滞りるので、血圧上昇のみならず酸素や老廃物の運搬が低下します。また、筋肉量の低下は、基礎代謝量の低下を招くので、体温が低下して免疫力も低下します。従って、種々の病気にも罹患し易くなるのです。歩くことで足の筋肉量が増加すると、上記が改善されるので長生きになるのです。

他の因子としては、抗酸化や老化防止に関与する酵素のスーパーオキサイドディスムターゼ(SOD)が挙げられます。SODは、活性酸素による障害を抑えることで、病気の発症や老化を防止する酵素です。SODは、中高年では急激に低下しますが、ウォーキングのような有酸素運動で低下を遅らせることが知られています。

歩くことで様々な健康効果がもたらされ、結果として死亡リスクも低減します。気候の良いこの時期に、ウォーキングの習慣をつけましょう。

食欲の秋

2016年09月10日

9月も半ばになり、すっかり秋めいてきました。秋といえば、読書の秋やスポーツの秋などもありますが、なんといっても食欲の秋でしょう!

秋に食欲が増す理由は幾つか挙げられますが、一つ目は基礎代謝です。人は、一年中同じ体温(37℃)を維持しますが、これには全エネルギーの60~70%も費やしています。夏は気温が高いので、少しのエネルギーで37℃にまで上昇できます。これに対して、秋から冬になると気温が低くなるので、37℃にまで上昇させるには沢山のエネルギーを必要になり、その分を食欲でカバーしています。

二つ目は、最近の研究で神経伝達物質のセロトニンが食欲にも関係していることが報告されています。セロトニンは、主に生体リズム・神経内分泌・睡眠・体温調節などに関与していますが、日光に当たった時間に依存して分泌されます。夏から秋になって日光を浴びる時間が短くなるとセロトニン分泌量が減少するので、これを補うために材料であるトリプトファンを多く含む食物を摂る必要性が生じます。その結果として、食欲が増すのです。

食欲が増す秋には、食べ方に注意しましょう。野菜、キノコ類、海藻などを多くすると、歯ごたえと満腹感を得ることができます。また、野菜を最初に食べると、血糖値の上昇が穏やかになります。食べ物のおいしい季節ですが、食べ過ぎずに健康的な“食欲の秋”になりますように!

枸杞子(クコシ)のコレステロール抑制効果

2016年09月01日

(株)旧国際友好交易(現国際漢方研究所)のホームページからの健康相談は、沢山の方々にご利用いただいております。ご相談で圧倒的に多いのが、LDLコレステロールまたは総コレステロールが基準値を超えて薬を処方されたが、飲むべきか?というものです。

現在の基準値は低く設定してあるので、中高年の半分以上は異常高値になってしまいます。病院は、薬を処方するのが商売なので、基準値を超えると薬をすすめてきます。しかし、健康に異常を感じていない半分以上の人が病人になることには、疑問を感じます。実際、現在の基準値の範囲内の人よりも、基準値を少し超えた人の方が、統計学的には長生きしているのです。本当に服薬は必要なのでしょうか?

私の個人的考えは、基準値を少し超えた人の場合は、薬よりも有酸素運動で基礎代謝をあげることをお勧めしています。その理由は、①コレステロールは悪者ではなく大切な栄養素なので、現在の基準値よりも少し高めの方が長生きしている、②薬には必ず副作用がある、③有酸素運動は基礎代謝を上昇させるので、免疫力の向上、糖尿病の予防、血流改善で血圧が安定するなどの他の効果もあるために、脂質のみならず全身の健康状態が改善するからです。

薬はお勧めしませんが、健康食品でお勧めなのは、最近スーパーフードとして話題になっているクコの実(枸杞子:クコシ)です。主成分のベタインの効果は幾つかあるのですが、多くの医学論文に掲載されているのが上図の脂質代謝効果で、その結果としての心血管疾患の予防作用です。栄養学の医学雑誌(The Jounal of Nutrition, 2008)では7074人の男女の大規模研究で、ベタイン濃度が高い人でコレステロールや中性脂肪、BMIなどが低く、HDLが高いことが報告されています。

私の研究している美露仙寿(めいるせんじゅ)は、7種類の漢方植物の抽出濃縮液ですが、主成分はクコシです。この美露仙寿を1日に4本飲んだ健常者の総コレステロール値は、3か月後に225.3 から212.2 mg/dlに有意に低下しました(医学検査、2012)。効果の見え難い健常者においても有意な低下があるので、コレステロールが高めの方にはより著しい効果が期待できます。他にも、体温上昇や血流改善などの効果もあることから、基礎代謝の向上が脂質代謝も上昇させると推測できます(未病システム学会雑誌、2015)。健康を守るには、バランスの良い食事と適度な運動が不可欠ですが、美露仙寿のような副作用の心配のない健康飲料も検討に値します。

 

抗生剤で肥満児

2016年08月20日

2歳までに抗生剤を3回以上飲んだ子供は、4歳時点で肥満児になり易いという研究が、胃腸の専門誌「Gastroenterology、2016年」に発表されました。

抗生剤は、細菌感染の治療に用いられていますが、人への投与量よりも2倍以上の量が食用の家畜へ使用されています。その目的は、食用家畜の感染を防ぐことに加え、抗生剤が成長を促進するので、より大きな状態で早く出荷できることが経験的に知られているためです。その機序として、マウスに抗生剤を投与された場合は、腸内細菌のバランスが変化して、10~15%も太ることが確認されています。

同様の現象が、人にも起きていると考えられます。小児の時期の抗生剤の使用は、腸内細菌のバランス変化が体質として残りやすいために、肥満児になる傾向があると考えられます。この時期の肥満は、将来の生活習慣病を誘発します。抗生剤は、感染症の治療には不可欠なのですが、その使用は必要最低限にすることが望まれます。