医療費が年々増加して、国の財政圧迫の一因になっています。国民1人当たりの平均医療費は年間で約30万円、75歳以上の高齢者では約100万円になるので、医療費の合計は約40兆円になります。この内、薬剤費は1/4の約10兆円です。膨らむ一方の医療費抑制の一環として、厚労省は医薬品の新薬からジェネリック薬への変更を奨めています。新薬は、開発に10~15年位の年月と数百億円の研究費がかかるので、そのコストが上乗せされて高価になのですが、ジェネリック薬はこのコストがかからないので、新薬と比較すると約半額です。現時点のジェネリック薬の普及率は、アメリカでは約90%、ヨーロッパでは60~80%程度と高いのですが、日本では約40%なので、平成30年までに60%までに高めることを目標にしています。この切り替えで1.3兆円位の節約が出来る計算です。
医療費削減という観点から、ジェネリック薬の使用頻度の向上は賛成です。しかし、これだけでは大幅な医療費削減にはなりません。根本的な解決には、上記に加えて投薬量を削減すべきではないでしょうか?これまで度々書いてきたように、降圧剤や高脂血症薬などは、不必要な人たちに飲ませることにより、莫大な医療費を浪費しています。人間ドック学会の発表した基準値にすれば、医療費は直ぐに削減できるのです。年齢を考慮すると、血圧は140~150 mmHg 位、総コレステロールも240~260 mg/dl位の適正値の健康高齢者が、病院で脅されて薬を飲まされています。高齢者の血圧を薬剤で110~120位に下げると、ふらついたり、力が入らなかったりして、逆に調子が悪く感じます。コレステロールが血管に付着して詰まらせるというのはウソで、多くの方では投薬治療は必要ありません。医師会や製薬会社が、『医は仁術』の精神になっていただければ、医療費は必然的に減少します。さらなる根本的な医療費削減策は、薬を飲まなくても良いように、国民全員がバランスの良い食事と適度な運動を心がける予防医学を普及させることです。投薬量を減らすことで縮小した経済は、予防医学系の健康産業を育てて補って欲しいと願っています。
ジェネリック医薬品の普及率向上のみならず投薬量を削減すべき
がん治療の最新研究(がん細胞の光治療&微小カプセル治療法)
身体の外から光を当ててがん細胞を治療する臨床試験が、アメリカの3大学で始まります。この治療法を開発したのは日本人の研究者で、米国立衛生研究所の小林久隆医学博士です。小林博士の研究は、2012年のオバマ大統領の一般共教書演説で紹介されている期待の治療法です。
その治療法とは、①がん細胞に結合する抗体に、光に反応する化学物質を結合させる。②これを、がん患者に注射すると、がん細胞だけにくっつく。③体外から近赤外線を照射すると、光に反応する物質が、がん細胞と一緒に壊れる。
この治療法の画期的な点は、外科手術が必要ないので、患者への負担が極めて少ないことに加え、正常細胞への侵襲がないので抗がん剤のような副作用がありません。さらに、この治療法は大掛かりな設備投資が必要ないので、地方の一般病院でも実施されるようになれば、どれだけ多くのがん患者の命を救うのか、計り知れないほどの研究です。がん撲滅への大きなステップになることが期待されています。
他のがん治療の最新研究は、微小カプセルでがん細胞だけを放射線破壊する方法です。この研究は、東京大学の片岡一則教授らのグループの発表です。55 nm(nmは10億分の1㍍)の微細カプセルの中にガドリニウムという元素を入れます。このカプセルには、がん組織に集まる性質を持たせてあるので、これをがん患者に注射します。ガドリニウムは、中性子線が当たると放射線を出して、結合したがん細胞を破壊します。マウスの実験では、がんの増殖が大きく抑えられたとのことです。
3月20日の「線虫ががんを見つける」研究や、今回のがん細胞の光治療や微小カプセルによるがん破壊治療は、一日も早く実用化して欲しいと願っています。
MERS(中東呼吸器症候群)の予防薬を京都府立大グループが作成
韓国でのMERS感染者は、6月19日現在166人、死者も24人となり、隔離対象者は約5930人に上っています。韓国での感染拡大には、病院職員の対応の悪さと韓国人の慣習が影響していると考えられます。最初の感染者の男性は、3か所の病院を訪れ感染を広めました。サムスンソウル病院でも、5月27~29日に入院した男性(35)から感染が広がったのですが、この男性が病院の中を歩き回っていたことや、他の病院へも行って計80人に感染させています。病院の受け入れシステムが、感染症の患者も他の患者と一緒に大部屋に入れることや、自由に動きまわれることなどに問題があります。また、患者を搬送する職員が発熱を自覚しながら9日間も勤務して、感染を広げるなど、医療職としての自覚が足りないと思われます。患者も、風邪などの軽傷の疾患でも、救急搬送で複数の病院で診察を受ける習慣があります。また、感染症予防に関する知識のない家族が看病することや、親族や友人が直接病院に見舞いに行って患者と接触する習慣があるので、ここで感染が広がる可能性が高いのです。病院のシステムや国民の医療意識を改革しないといけないでしょう。
MERSが恐れられている理由は、致死率が約40%と高いことに加え、予防薬や治療薬が無いことです。京都府立大の塚本康浩教授のグループが、予防薬の大量作成に成功し、韓国と米国で大量生産に入っています。作成方法は、蚕の細胞で作成したMERSコロナウイルスの表面たんぱくをダチョウに投与します。ダチョウの体内で生成された抗体を、ダチョウが生んだ卵から取り出して、生成します。この抗体は、人の体に侵入しようとしているウイルスを覆って感染力を奪ってしまうので、感染から免れるというものです。この抗体をマスクに塗布しておけば、感染する危険性が格段に小さくなりますし、病院などで散布しておけば2次感染の危険性を軽減できます。まだ、体内への直接投与が承認されていないのですが、速やかな臨床試験での実用化が望まれます。
東京圏の要介護高齢者の地方移住の提言について
日本創生会議は、東京圏の75歳以上の高齢者が今後急増し、深刻な医療・介護サービス不足に陥ることより、高齢者の地方移住を促すよう政府や自治体に求める提言をしました。
日本創生会議とは、東日本大震災からの復興を新しい国づくりの契機にしたいとして、2011年5月に発足した有識者らによる政策発信組織。座長は増田寛也前岩手県知事(元総務相)で、他に経済界や労働界の代表や大学教授などから構成されています。
提言では、東京圏(埼玉、千葉、東京、神奈川)では、75歳以上の高齢者が平成27年の397万人から10年後には572万人へと175万人増加し、全国の増加数の約1/3を占めると予測されています。この急増に対して、東京圏は医療・介護のための土地や人材確保が難しいので、比較的余裕のある地方へ移住を求めていますが、この提言に対して幾つかの違和感を覚えます。
先ず、高齢者の介護において、東京圏と比較すれば地方には多少の余裕があるかもしれませんが、地方の医療・介護施設は元々の地方在住者のために地方の方々の税金で整備されたものです。従って、出資者である地元の方々の使用が優先されて当然です。東京圏の財政は黒字でしょうが、地方の自治体は赤字財政が多いのです。その苦しい財政条件下で整備された施設に、東京圏の要介護者をお願いするのであれば、それ相当の補助金などを考えなくてはなりません。また、消滅が危惧されている地方都市も多数あるので、地方が欲しいのは活性化に必要な若い労働力なのです。東京圏の高齢者の介護を地方にお願いするのであれば、若い介護職も一緒に定住できるような政策が必要です。
次に、移住する要介護の高齢者は、住み慣れた東京圏を離れて地方に行くわけですから、家族はもとより友人たちとも遠く離れることになります。家族でさえもたまに面会に行く程度になり、友人とも疎遠になってしまいますので、寂しい老後を送ることになります。人間は、単に食事と寝床があれば良い訳ではなく、精神的に満たされることが必要ですので、心の介護も同時に考えるべきです。なお、要介護高齢者を地方に移住させるだけでは、問題は解決しません。
根本的な解決策は、生涯現役で働いて税金を納めるような、元気な高齢者を作ることです。このブログで度々書いているように、健康の基本はバランスの良い食事と適度な運動です。加えて、やりがいのある仕事を続ける事や、楽しめる趣味を持つことで、健康で病気知らずの高齢者になれます。美露仙寿(めいるせんじゅ:販売元=国際友好交易)の販社長は、80~90歳の方が多いのですが、皆さん元気で肌は艶々なので10~20歳位は若くみられます。生涯元気で働くことが出来るのは一番の幸せですし、 高齢になっても税金を払っていることは、日本の将来にとっても重要なことです。元気で長生きして人生を楽しみ、介護などの世話にはならずにピンピンコロリが理想的な生き方です。子供や孫たちの世代に負担を掛けないように、元気な高齢者を目指しましょう!
日本人の平均寿命世界最長に緑茶が一役
世界保健機関(WHO)による「世界保健統計」で、男女合わせた2013年の平均寿命は、日本は84歳で世界最長でした。なお、女性は86.61歳で世界1位、男性は80.21歳で世界4位です。主要国では
韓国 82歳、 米国 79歳、 中国 75歳、 ロシア 69歳
全世界の平均寿命は71歳で、最短は中央アフリカ・シエラレオネの46歳。日本は2012年に続いて2013年も、連続で金メダルです。
死亡の危険性を下げる一因として、緑茶が良いことが、国立がんセンターと東京大の研究チームから報告されています。10都道府県に住む40~69歳の男女約9万人を対象に、死亡と生活習慣の関連を調査しました。1990年からの調査期間中に死亡した1万2874人の危険性を調べたところ、緑茶を「1日5杯以上飲む」と答えた人では、男性で13%、女性で17%もリスクが低い結果となりました。(コーヒーでも同様の効果があるとのことです。)
緑茶に含まれるカテキンはお茶の渋みの主成分で血圧降下作用があり、カフェインには血管や呼吸器の働きを改善する働きがあるので、脳血管疾患や呼吸器疾患のリスクが低下して、死亡率を下げる可能性が考えられます。他にも、認知症予防効果やがんリスク低減効果などの研究も報告されています。食事は日本食、食後には緑茶が、平均寿命のみならず健康寿命の延長にも良いようです。
ただし、人工的にカテキンを大量にとることは、逆に肝炎などの健康阻害を引き起こすことがあります。特保のへ●●ア緑茶には、1本当たりカテキンが約 540 mg/dl も大量に含まれており、通常にいれたお茶約10杯分に相当します(注:入れ方により異なる)。この量のカテキンは、海外では「肝障害」を引き起こすとして、カナダでは販売が中止、アメリカでは注意書き付きで販売されています。人工的や化学的に作られたものは、摂取過多の危険性を含んでいます。特保の商品は、必ずしも健康に寄与するものではなく、時には健康を害します(2014年9月1日、10日の“特保のウソ”をご覧ください)。
急須で入れたお茶を、毎食後に飲むのが健康には良いのです。食後の一杯のお茶は、“日本人で良かった!”と思える時間です。