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遺伝性乳癌はもう一方も予防的切除を推奨(日本乳癌学会)

2018年05月20日

日本乳癌学会は、遺伝子変異による乳癌を発症した患者では、未だ癌になっていない側の乳房も予防的に切除することを「強く推奨する」としました。

乳癌は女性に最も多いがんで、乳癌の年間発症者は約8万人にのぼります。このうち遺伝性の乳癌は5~10%を占めており、BRCA1またはBRCA2と呼ばれる遺伝子に変異の認められる女性の場合は乳癌になりやすく、生涯のうちに40~90%の高い確率で乳癌を発症します。従って、遺伝子変異の認められる乳癌を発症した場合は、再発防止の観点から、もう一方の未だ発症していない乳房も、予防的に切除することを強く推奨するとしています。この予防切除で10年後の生存率を、切除しなかった71%から89%に上昇するという英国の研究結果があります。

生存率が上昇することは結構なことですが、問題点も考えられます。第一に、予防切除は健康保険の適用外ですので、自費負担額は約150万円と高額です。第二には、切除しなくても再発しないかもしれませんので、心理的に女性のシンボルである乳房はできる限り切除したくないと考える方も多くいます。予防切除は、健康保険の適用で安価にできるように健康保険制度を改正することと、心理カウンセリングが十分に行われることで女性患者の心理的負担が取り除かれることが必要です。

 

抗生剤使用の乳幼児はアレルギー疾患の発症リスクが1.7倍

2018年05月10日

2歳までに抗生剤を使用した乳幼児は、使用経験のない乳幼児と比較すると、喘息やアトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患の発症リスクが1.4~1.72倍に高まることが、国立成育医療センターの研究チームから報告されました。

調査は2歳までに抗生剤を使用した436人と、服用経験のない466人を、5歳時点での喘息や鼻炎、アトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患の発症率の差を比較しています。その結果、抗生剤を使用したグループではアレルギー疾患の発症率が有意に高まることが確認されました。特に、抗生剤の中でも多種類の細菌に対して効果を発揮する第3世代のセファロスポリンの使用では、効く細菌の少ないペニシリンと比べると、喘息で1.63倍、鼻炎では3.14倍もアレルギー疾患を発症しやすいと報告されています。他の研究でも、抗生剤の使用で食物アレルギーの発症率が高まるとの報告もあります。

アレルギー疾患の高まる原因として考えられるのは、抗生物質の使用で免疫を担う腸内細菌が死滅してしまうことが考えられています。細菌感染による肺炎や敗血症などの重傷疾患では抗生剤の使用は不可欠ですが、風邪などの抗生剤の必要のない症例での使用を控えることが求められます。(風邪には抗生物質を使わない風邪への対処法風邪とインフルエンザ抗生物質の多用で耐性菌

女子高生の過半数が「自分は太っている」と考える

2018年05月01日

日本の女子高生の過半数(51.9%)が、「自分は太っている」と考えていることが国立青少年教育振興機構の調査で報告されています。しかしながら、実際にBMIが25以上の肥満はわずかに2.7%のみでした。この結果は、女子高生が必要以上にダイエット思考が強いことを示しています。ちなみにアメリカの女子高生では19.7%で、日本よりもはるかに低値であり、日本ほど痩せることに執着はないようです。
この調査結果は、本ブログ(イソフラボンで痩せるは根拠無し、消費者庁が改善措置命令、2017.11.10)で示したように、太っていないのに自分は太っていると思い込んでいるケースや、痩せているのが美人と勘違いして、痩せたいと願う女性が多いことに原因があります。私が講義に行っている短大の女学生からも、「痩せるにはどうすれば良いでしょうか?」という質問を度々受けますが、全く肥満はありません。

美人(魅力的な女性)の第一条件は健康であり、そして生き生き、ハツラツしていることです。痩せすぎは不健康で、逆に女性の魅力を落としてしまいます。

 

妊娠初期の葉野菜が児の喘息症状を予防

2018年04月20日

妊娠の初期に妊婦が葉野菜(レタス、ほうれん草など)やアブラナ科野菜(ブロッコリー、カリフラワーなど)を多く摂取すると、児が2歳時点での喘息症状の予防効果が高い事を、国立成育医療研究センターなどの研究チームがイギリスの国際医療雑誌に報告しました。

研究の方法は、妊娠女性511名において野菜の摂取量により5群に分類して、野菜の摂取量と児が2歳の時点における喘息症状(喘鳴:ぜんめい)との関係を解析しています。その結果、野菜を多く摂取している群では最も摂取量の少ない群と比較すると、喘息症状を呈する確率は約4割も減少しており、この傾向は野菜の摂取量と相関していました。特に、葉野菜やアブラナ科野菜を多く摂取している群では、約5割も低いことが認められています。胎児の呼吸器の形成は妊娠初期に始まるので、葉野菜などが児の呼吸器の形成に役立つと考えられます。

野菜は、抗酸化作用や食物線維などにより、健康長寿には欠かせないものですが、妊婦と胎児にも有用であることが示されています。全ての世代において、野菜の摂取を心がけましょう!

60歳代の4割が健康食品やサプリを利用 ⇒ 選び方

2018年04月10日

国内の健康食品市場の調査(矢野経済研究所)の結果、健康食品やサプリメントの利用は年齢と共に上昇し、60歳代では4割を超えていました。その60歳代の利用者の約80%は、殆ど毎日の利用です。使用頻度の高い商品は、腸内環境を整える乳酸菌や食物線維や、ビタミンやミネラルなどの基礎栄養素関連などです。若者を含めた全世代の1ヶ月の平均購入額は3698円で、60歳代では4422円と多くなっています。

健康食品については、これまで本ブログで度々取り上げてきましたが、国のお墨付きを得た特保でさえも全く効果の無いものや、逆に健康被害をもたらす商品が多々存在していますので、以前の記事をご覧下さい。

栄養ドリンクの危険性、 ②イソフラボンで痩せるは根拠無し、 ③トクホの大嘘、 ④根拠のない健康食品(特に水素水)、 ⑤トクホ表示やうたい文句に騙されるな、 ⑥健康食品で健康被害(ウコン)、 ⑦特保のウソ(2)、 ⑧特保のウソ(1)

多くの商品はプラセボ効果のみ

プラセボ効果とは、例えば、「この新薬は良く効く」と患者に説明しておくと、食塩水の注射やメリケン粉で作った錠剤の投与でも、2~3割の患者に効果が現れる現象をいいます。即ち、効くという思い込みが効果をもたらすのです。多くの健康食品は、このプラセボ効果に頼っています。

従って、健康食品を利用する場合は、選び方が重要ですので、その選定ポイントを私の研究している漢方飲料(美露仙寿:めいるせんじゅ)を例にして述べます。

1.医学的根拠(医学研究論文)がしっかりしている

殆どの健康飲料は、その効果に対する医学的根拠はなく、「○○○と言われています。」といったレベルのものです。機能性食品でも、健康に良い成分が含まれていれば登録可能なのですが、その商品自体に効果があるかは全く不明です。医学的根拠とは、その商品自体の効果が医学論文で確認されたものです。何故に殆どの健康食品にはその効果の根拠となる研究論文がないかというと、論文の執筆には長時間の研究期間と多額の研究費が必要なので、利益追求の会社は研究は行わないのです。また、行ったとしても多くの商品では効果が確認できないのが現状です。私の研究している美露仙寿(めいるせんじゅ)の最近の研究論文は、

① 医学検査561 (3): 41-547, 2012、 ② Chinese Medicine(3): 223-228, 2012、 ③ 未病システム学会雑誌21(3)1-6, 2015、 ④ International Journal of Phytomedicine 353-359, 2016 他

などの研究論文で、免疫力の向上、基礎代謝の向上、未病の改善効果などが確認されています。なお、学会発表の場合は内容は自由に発言できるので、信頼度はさほど高くはありません。一方、論文は内容の一字一句までを審査委員がチェックしますので、論文のデータは審査委員が公に認めたことで信頼度は格段に高いのです。この様な医学研究論文のある健康食品は、ほんの一握りしかありません。

2. 医療の専門家が健康相談などのフォロー

健康食品を販売する会社が医療の専門家(医師、薬剤師、看護師など)による健康相談を行っているかを確認すれば、その商品の信頼性がみえてきます。何故なら、医療の国家資格者を雇用するには多額の人件費が必要ですので、利益を追求する会社は行いません。美露仙寿の場合は、私が常勤でお客様の健康相談に対応しています。お客様を健康にすることで信頼を高めることが、次のお客様に繋がるという会社の方針です。この様なまじめすぎる会社は儲かりませんが、顧客の信頼を得ることで長く生き残る会社です。

人生で最も大切なのは、自分と家族の健康です。健康の基本は、バランスの良い食事と適度な運動ですが、それを補うのは信頼できる健康食品と専門家の健康アドレスです。しっかりと見極めて、健康食品を選びましょう。