基準値(正常値)のウソが修正される?

2014年05月01日


これまで、健康診断の基準は厳しすぎて、健康人を病人にしていると書いてきました。即ち、正常な検査結果を異常値と判定して、健康人を病人にすることにより、必要のない治療や投薬をして病院や製薬会社が儲けていたのです。私の主張が真実であることを証明したのが、2014年4月5日付朝日新聞1面の「『健康』の基準緩和─血圧・肥満度・コレステロール(人間ドック学会)」というタイトルの記事です。

血圧の基準値(正常値)は、年齢に関係なく130 mmHgとされてきましたが、これは若者の値であって、健康な高齢者は140~150 mmHg位あるのです。1987年の高血圧の基準値は180 mmHgだったのをご存知でしょうか?その後、50 mmHgも引き下げて130 mmHgにし、健康な高齢者に降圧剤を飲ませていたのです。なお、血圧は年齢とともに変化するので、本来は年齢別に基準値を作るべきなのです。

肥満に関しては、BMIが肥満と判定される25~26位が長生きであることは統計学的解析から明らかだったのですが、今回は男性が27.7で女性が26.1まで上がっています。ただし、一番病気が少ない体型は男女ともにBMI=22ですので、健康で長生きするには22から25位が適当と考えられます。なお、腹囲の男性85 cm、女性の90cmは全く医学的が根拠がありません。

コレステロールは、男性254 mg/dlまで、女性は280 mg/dlまでを基準値(正常値)としました。昔の基準値は250 mg/dlでした。メバロチンというコレステロールを下げる薬が発売されると同時に、基準値が220mg/dlに変更されていたのです。この基準値では、半分以上の中高年が異常値になります。要するに、薬を飲ませるために基準値を引き下げていたのです。コレステロールは、細胞膜やホルモンの原料となる大切な栄養成分なので、薬で下げすぎると健康を害するのです。

また、LDLは悪玉と宣伝されてきました。実際は、LDLはコレステロールを組織に運ぶ大切な役割をしているので、これまでの基準値を超えた値の人の方が長生きしているのです。LDLは決して悪玉ではないので、今回の大幅な上方変更は当たり前です。

学会はこの新基準を6月に正式に決め、来年4月から運用する予定です。
製薬会社から研究費という名目でワイロを受け取っている御用学者が、薬を沢山売りたい製薬会社と結託したウソの数々が、少し改善されるようです。

抗生物質の多用で耐性菌

2014年04月20日

  抗生物質は、ご承知の通り、細菌感染症から人類を救ってくれたといっても過言ではありません。しかしながら、現在の医療ではその使用量が度を超しているために、抗生剤の耐性菌を生み出し、また使用過多による体内の有益菌までも死滅させることがあるのです。抗生剤の効かない耐性菌は、昔はメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)が話題になり、その後はバンコマイシン耐性腸球菌(VRE)、多剤耐性緑膿菌(MDRP)が問題になりました。これらの菌がなぜ出現したのかと言えば、抗生物質を使いすぎたために、細菌がそれに対抗して抗生物質が効かないように進化したのです。日本は世界の中でも最も抗生剤を多用しているので、耐性菌であるMRSAの院内感染の多いのが現状です。感染症の患者から検出される黄色ブドウ球菌の内、耐性菌のMRSAが検出される頻度は、長崎大学では約60%位の高頻度です。海外ではアメリカやイタリアでも40%程度、ドイツでは10%以下、オランダは殆ど検出されていません。如何に日本の検出率が高いかが解ります。何故に、この様な高い頻度で耐性菌が蔓延するのでしょうか?それは抗生剤の使い過ぎにあるのです。例えば、風邪をひいて病院にいくと抗生物質が処方されることが多いです。でも、インフルエンザなどのウイルスには抗生物質は効かないのは常識です。でも、何か薬を出さないと患者が納得しないので、抗生剤を処方するのです。患者は薬はいらないと断った方が良いのです。


耐性菌の歴史

  抗生物質の多用は、薬剤耐性菌を生み出すばかりではありません。皆さんも、抗生物質を飲んだ後に下痢をした経験はありませんか?腸内には100兆個と言われる腸内細菌が住んでいて、食物の消化吸収を助け、感染防御や免疫刺激を行うことで体内の半分以上の免疫機能を担っているのです。その腸内細菌までもが、抗生剤の多用で死んでしまうために、下痢をしたり、免疫機能が低下したりしているのです。また女性では、膣内細菌が有害な菌の繁殖を抑えているのですが、抗生剤の多用でその有益菌が死んでしまい、膣内に雑菌が繁殖しやすくなるのです。この様に、抗生剤は正しい使用方法では有益なのですが、多用することにより免疫力が落ちて、健康を害するのです。

製薬会社と大学病院のなれあいの実態

2014年04月10日

これまで、薬についての意見を述べてきましたし、これからも医療の裏側を紹介して、正しく安全な医療の利用方法を考えていきたいと思っています。今日は、製薬会社の利益のみを追究する姿勢についての記事を紹介します。

4月2日の記事では、白血病の治療薬の販売促進のため、副作用などのデータを医師ではなく製薬会社の社員が書いていたことが指摘されています。それも東大病院を含む22病院が関与していたことです。

また、昨年の降圧剤の研究では、製薬会社の社員がデータを改ざんして、「ディオバンは血圧を下げる効果に加え、脳卒中などを防ぐ効果が高い」との虚偽の内容の論文を作成し、1000億円もの薬を売り上げていたのです。

東大、東京慈恵会医大、京都府立医大などの有名大学の名前が出ると、患者は信用して薬を飲むのですが、裏では研究者と製薬会社がつるんでいるのです。薬を売りたい製薬会社と、研究費(多くは製薬会社の寄付金)が欲しい大学のなれあいは、今に始まったことではありません。

教訓: ① 薬は副作用を考慮したうえで、必要最小限度にすべき!

          ② 健康を守るのは、バランスの良い食事と適度な運動

熊本にて

2014年04月01日

熊本への出張目的は、崇城大学での論文執筆の打ち合わせと、2か所での健康講演でした。

崇城大学では、美露仙寿の研究をしていただいている薬学部の横溝教授と周助教のお二人に、忙しい中お時間をいただきました。論文は、女性の未病(便秘、冷え症、肩凝り)への美露仙寿の効果についてで、昨年に会員の協力で集めた上記未病へのアンケート(600名超)と、崇城大学でのマウスを使った実験結果を用います。便秘では、美露仙寿の飲用者は飲む前と比較して明らかに改善していますが、この要因として美露仙寿を飲んだマウスで観察された腸内の善玉菌の増加と悪玉菌の減少が、人でも同じ様に作用していると考えられます。冷え症では美露仙寿の飲用者では飲む前と比較して有意に体温が上昇し、肩こりでは明らかな改善を実感していました。この要因として、美露仙寿を飲んだマウスでは、冷水で体を冷やした後の血流量の回復が早いので、血流促進効果が関与していると考えられます。前回の論文(医学検査2012年)でも、美露仙寿の飲用マウスでは食欲増進にもかかわらず体重は少な目なことから、基礎代謝の亢進や体温上昇が示唆されていましたが、この説がさらに強く示唆されました。この様な内容の論文を医学雑誌に投稿する予定です。楽しみにお待ちください。

健康講演(知ると長生き;健康の常識)は、2日目のグランメッセ熊本では80名用の大会議室が満杯、3日目の菊池市中央公民館では当初30名の予定が50名位に増えてうれしい誤算です。講演する側としては、この様に大勢のお客様に来ていただくと、やりがいがあります。

菊池市での宿泊は、「岩蔵」という渓流のわきにあるホテルでした。純和風の一軒家の作りで、各部屋にはゆったりサイズの露天風呂がついていました。湯は、わずかに硫黄の香りがする源泉かけ流しで、スベスベ感があるアルカリ泉です。湯温は、入った瞬間は少しぬるめかなと感じるのですが、ゆっくりと長湯するには適温です。湯船からの渓流の眺めと水流音も、精神面でのリラックスを促します。こんな高級ホテルは、私のような一般庶民には贅沢な料金なのですが、美露仙寿の会員の女将さんのご厚意で半額以下になっていました。

(岩蔵HPより)

夕食は、昼の講演に来ていただいた会員の方々との食事会です。30名を超える大勢の会員さんがホテルまで来てくださいまして、うれしい驚きです。ホテルまで乗せてきていただいたK販社長さんより、馬刺しの差し入れをいただきました。熊本の酒の肴といったらやはり馬刺し。しかも最高級の馬刺しなので、肉が甘くて、口の中で溶けます。旨い!!!!

高級なホテルで旨い馬刺しを食べて、まさに“役得”を満喫した熊本出張でした。

ステロイドの副作用

2014年03月20日


ステロイド剤は、抗炎症作用や免疫抑制作用を有する有益な薬剤です。湿疹や皮膚炎などにはてき面な効果を発揮します。また、膠原病などの自己免疫疾患にも広く使われています。しかしながら、長期に大量投与することにより、取り返しのつかない副作用も生むのです。例としては、ステロイド薬が白血球の機能を低下させることで、ウイルスや細菌、微生物などの外敵と戦う力が弱まり、 感染症が起こりやすくなります。この状態は「易感染」と呼ばれ、インフルエンザ、肺炎、結核などがあります。

    ステロイド薬を大量に投与すると、ステロイドが血糖値を下げる働きがあるインスリンの作用を阻害するために、血糖値が高くなるステロイド糖尿病になることがあります。ステロイド薬の投与が血液中のナトリウムを増やし、血圧を高めて高血圧がみられる場合があります。この他にも、骨粗しょう症、副腎機能低下など、たくさんの副作用が報告されています。使用する場合は、副作用を考慮する必要があります。

 皮膚炎では、ステロイド軟膏を使用すると一時的には改善しますが、止めるタイミングが重要です。中途半端な時期に中止すると、それまで抑えられていた炎症が一気に噴き出して、以前よりさらに悪化することがよくあります。時間をかけて、少しずつ使用量を減らしていくことが必要です。ステロイド剤は、「両刃の剣』であるのです。