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健康管理

健康クイズ ① 冬に多い疾患

2018年03月01日

健康長寿には、知識が必要です。本ブログの読者の方々は、普段から勉強されていることでしょうが、このクイズで確認してください。

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問題① 風邪やインフルエンザの感染予防のうがいは

a.  ヨードのうがい薬でないと効果が無い

b.  水道水でOK

 

問題② 風邪やインフルエンザの感染予防には

a.  こまめに水をのむ

b.  1日1本の栄養ドリンク

 

問題③ 風邪やインフルエンザの感染予防には歯磨きが

a.  有効

b.  関係ない

 

問題④ 風邪やインフルエンザには抗生剤が

a.  効く

b.  効かない

 

問題⑤ 風邪やインフルエンザで熱が38度近くになったら

a.  解熱剤で平熱まで下げる

b.  暖かくして休む

 

問題⑥ インフルエンザの予防注射をすると

a.  感染することは絶対にない

b.  感染する確率が低くなるだけ

 

問題⑦ インフルエンザに感染して回復すると

a.  免疫ができるので二度と感染しない

b.  再度感染する可能性はある

 

問題⑧ ロタウイルスで下痢したら

a.  下痢止め薬を飲む

b.  排便する

 

問題⑨ ロタウイルスで下痢したら

a.  水分を控える

b.  水分を補給する

 

問題⑩ ロタウイルスで下痢した時に良い飲み物は

a.  栄養のある牛乳

b.  スポーツドリンク

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正解① 風邪やインフルエンザの感染予防のうがいは

b.  水道水でOK

うがい薬と水道水のどちらが感染予防効果があるかを研究した京都大学での結果は、水道水の方が感染率が低く予防効果があるという報告でした。その理由は、うがい薬のヨードは殺菌性の効果の裏側で、喉の粘膜を傷つけてしまうことや、口内の常在菌のバランスが崩れて、感染を引き起こしやすくなるのです。毎日のうがいは、水道水でOKです。

 

正解②   風邪やインフルエンザの感染予防には

a.  こまめに水をのむ

喉には細菌やウイルスなどの外敵を体外に排泄する繊毛があるのですが、水分を摂り湿らすことで機能がアップします。飲水時に、喉に付着している細菌やウイルスが胃に流れ込んでも、胃液の強酸で死んでしまいます。

 

正解③ 風邪やインフルエンザの感染予防には歯磨きが

a.  有効

歯周病の原因菌のひとつであるグラム陰性菌が出す毒素で粘膜が破壊され、風邪やインフルエンザの病原菌がとりつきやすい環境がつくられます。実際、65歳以上の在宅介護者190名を対象にした調査で、正しい口腔ケアを行うと、インフルエンザ罹患率が10分の1になったと報告されています。歯磨き、歯間ブラシ、糸ようじで口腔内を清潔にしましょう。

 

正解④ 風邪やインフルエンザには抗生剤が

b.  効かない

抗生物質は細菌を殺す薬剤なので、ウイルスには効果はありません。風邪の約9割は、ウイルス感染が原因です。インフルエンザもウイルスなので、抗生物質は効果がありません。

 

正解⑤ 風邪やインフルエンザで熱が38度近くになったら

b.  暖かくして休む

罹患して発熱するのは、熱に弱いウイルスを弱らせているのと、免疫を担当する白血球の活性を上昇させるためです。例えば、体温を36.5℃から37.5℃に1℃上昇すると、免疫力は5~6倍上昇します。従って、解熱剤で平熱まで下げてしまうと、回復が遅れることになります。インフルエンザの場合には、これ以上に発熱することが多いので、解熱剤を使用して38℃くらいにまで下げることはOKです。使用には担当医の指示を受けて下さい。

 

正解⑥ インフルエンザの予防注射をすると

b.  感染する確率が低くなるだけ

インフルエンザのワクチンは、感染の確率を約50%程度低くする効果はありますが完全ではなく、接種しても発症する場合もあります。ワクチンを接種しても発症する因子は、①接種したワクチンが感染したウイルスと異なるタイプの場合。②感染予防の効果は、接種後約2週間から6ヶ月の期間のみなので、接種直後や半年以降は効果は無い。③接種による免疫がつきにくい体質などが考えられます。特に、子供は免疫がつきにくいので、2回の接種が必要です。

 

正解⑦ インフルエンザに感染して回復すると

b.  再度感染する可能性はある

インフルエンザウイルスにはA型とB型があり、それぞれに有効な抗体が違います。ひとつのシーズンにA型とB型のインフルエンザにそれぞれ感染することがあります。また、インフルエンザウイルスは毎年のように変異するため、抗体が有効なのはそのシーズンの間のみです。

 

正解⑧ ロタウイルスで下痢したら

b.  排便する

下痢の症状は、ロタウイルスのような有害な外敵を、下痢便として体外に排泄しています。下痢止め薬の使用は、有害な外敵を体内に留めておくことになるので、症状は悪化します。尚、下痢便の中には大量のウイルスが存在しますので、感染をしないように処理して下さい。

 

正解⑨ ロタウイルスで下痢したら

b.  水分を補給する

下痢便として多量の水分が失われますので、その分を補給しないと脱水状態になってしまいます。特に、子供は大人よりも水分量が必要ですから、十分な量の水分補給が必要です。

 

正解⑩ ロタウイルスで下痢した時に良い飲み物は

b.  スポーツドリンク

真水よりも電解質を含んだスポーツ飲料の方が体内への吸収率が大きく、効果的です。また、下痢では水分と共にカリウムが失われます。スポーツ飲料やリンゴジュースなど、カリウムを含む飲料が有効です。

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何問正解できましたか?理由まで答えられれば完璧です。次回も続きます。

 

 

 

 

 

 

 

 

風邪に抗生剤を使わない病院に報酬⇒?????

2018年02月20日

厚生労働省は、3歳未満の乳幼児で、風邪や下痢に抗生剤を使わずに適切な説明をすれば、医療機関に報酬(1件当たり800円)を支払う新たな仕組みを4月からの診療報酬改定に盛り込みます。さらに、病院内で抗生剤を適正に使うよう教育したり、耐性菌の発生率を調べたりする医師や薬剤師らのチームを設置した場合の報酬も新たに設ける予定になっています。その理由は、誤った使い方によって薬が効かなくなる「耐性菌」の広がりを抑えるためですが、本来は処方する必要の無い抗生剤を処方しないだけで報酬を与えるのか、超高齢化社会で医療費が膨れあがっている状況の中で、疑問を感じます(風邪には抗生物質を使わない:厚生労働省の医師向手引き)。この報酬は、私たちが支払っている健康保険料から支払われるのです。

風邪の原因の約9割はウイルスが原因なので、抗生剤は効果が無いことは本ブログで度々書いています(風邪への対処法風邪とインフルエンザ)ので、読者の皆様は既に理解されている事でしょうし、ましてや医療従事者なら常識です。しかしながら、必要の無い抗生剤が処方され続けるる理由は、患者側と医師側の両方にあります。患者は、約半数がウイルスには抗生剤が効かない事を知らないし、薬をもらうと安心します。医師側は、薬を処方しないと患者からヤブ医者扱いされることや、処方箋で利益がでることなどが挙げられます。

医師は、必要の無い薬は「必要ない」とはっきりと説明しなければいけません。その結果、耐性菌の減少や、飲み残しの薬剤が減少します(残薬(飲み残しの薬)が年475億円分)。患者側も、健康を守るのは自分自身であることを自覚して、基本的な医療の知識を勉強することが必要です。本ブログが活用されることを願っています。

セカンドオピニオン(前立腺がんにおける漢方)

2018年02月10日

がんの患者数は年間約98万人(男性56万人、女性42万人)で、死亡者は約37万人(男性22万人、女性15万人)と増加傾向にあります。これらの中で前立腺がんは、死亡者数は全がんの1%程度(男性で5.6%)と少ないのですが、患者数では男性がん患者の17.6%を占め、最も多く発症しています。治療法は、手術、放射線、ホルモン療法などがあります。

事例(80歳男性):

排尿の際に痛みを感じて受診。PSAが64(基準値:70歳以上 4.0 ng/mL 以下)と高値で、前立腺癌と診断される。担当医からは手術を勧められるが、本人は後遺症などを考慮して手術は望まず、他の治療法を模索。

治療法は、手術、放射線、ホルモン剤などがあり、がんの悪性度や進行度、年齢などを総合的に考慮して選択します。手術の後遺症には、尿管括約筋の損傷により尿漏れや失禁が多発し、性機能障害(勃起障害:ED)などもあります。放射線治療では、外部照射では排便障害、内部照射でも排便困難や排尿痛などがあります。ホルモン剤療法では、生活に支障が出るような副作用は比較的少ないのですが、乳房の女性化や性機能障害が少数見られます。

セカンドオピニオン:

漢方により免疫力を向上させることで自己治癒力を高めると共に、ホルモン剤の投与で回復することを期待して、1~2ヶ月の間PSAで経過観察する。

漢方飲料は、がん細胞を攻撃する白血球(NK細胞およびキラーT細胞)を活性化することが確認されている美露仙寿(めいるせんじゅ)を用いた(医学検査 2012年 541-547)(がん・予防(4)医師は自分に抗がん剤は使用しない)。美露仙寿の15 ml 瓶 を1日15本飲用し、その後に徐々に飲用本数を減らした。加えて、ホルモン剤を3ヶ月毎に投与と、内服薬2種類を毎朝夕の2回を継続した。その結果、治療開始の直後には、PSAは低下傾向を示して治療の有効性が認められたので、この方法を継続する事を選択した。診断から4ヶ月後にはPSAは基準値付近までに劇的に低下し、5ヶ月後には基準値内に低下した。その後も低下し続け、現時点でもPSAは低値を示している。副作用などは全くなく、体調は良好。担当医は、放射線治療の追加を提案するが、本人は拒否し、現行法を望んでいる。

前立腺がんでは、多くの患者で必要の無い手術が行われています。その結果、尿漏れなどの後遺症に悩むことになるのですが、その後遺症の治療を行うことで病院は継続して患者を確保しています。放射線治療も同様ですので、その必要性を考慮するべきです(医は算術のシナリオ)。

漢方とホルモン剤を選択するには、がんの悪性度と進行度を考慮することが必要です。がんの悪性度を示すグリーソンスコアが8以上の場合や、PSAが半年以内に2倍以上に急上昇している場合などでは、悪性度が高いので治療法は慎重に考慮しなければなりませんが、これらの患者は一部のみです。ホルモン剤を使用せずに、漢方のみでもPSAが低下するケースも多くあります。治療法は情報を収集して慎重に選択することと、よりリスクの少ない有効な治療を提供してくれる医師を選んで下さい。

 

セカンドオピニオン(偽高カリウム血症)

2018年02月01日

健康相談に電話をいただいた中年女性の事例です。この方は糖尿病はあるものの、血糖コントロールは極めて良好で、腎症などの合併症も一切ありません。行きつけの病院で血液検査の結果、カリウム(基準値 3.6~5.0 mEq/L)が6.9と高値でした。(カリウムは心臓の筋肉の動きに関与しているので、6.0 mEq/L以上の高値になると危険な不整脈の原因となり、心停止のリスクが大きくなります。)そこで、心電図の検査をしたが異常はなく、カリウムを多く含む野菜や果物の摂取を控えるように指導され、再検のための採血をおこない帰宅。翌日の検査結果は、カリウムは5.8になり、昨日の高カリウムは検査の機械が調子悪かったのだろうとコメントされたそうです。

*セカンドオピニオン

この例は、「血液検体の取り扱いが悪いことにより、赤血球中のカリウムが血清中に出てきて、偽の高カリウム血症になっている」可能性が極めて高く、心配はいりません。その根拠は、主に2つです。1つ目は、腎症もなく、カリウムを含んだ薬剤の大量投与もないのに、カリウムが6.9の高値に急上昇することは考えられない。2つ目は、何の処置もしていないのに次の日に5.8まで変化するのは不自然です。従って、病的な要因での高カリウム血症ではなく、人為的な要因が関与している偽の上昇といえます。

血液検体の取り扱いの不備でカリウム値が上昇する機序は、以下の通りです。血液検体は、採血後に遠心分離して、上澄みの血清部分だけを冷凍などの低温で保存します。しかし多くの開業医では、検査は検査センターに外注しています。その際に、遠心分離をせずに検査センターの収集時間まで長時間に渡って血液検体を放置すると、赤血球の中に高濃度に存在するカリウムが血清中に染み出してくるので、カリウムの測定値が高くなります。このカリウム値の上昇は、血液検体を放置した場所の温度が低いほど大きくなります。例えば、冷蔵庫のような低温状態ですが、冬は室温が低いので冷蔵庫と同じようなカリウム値の上昇を起こし易くなるのです。

血液検査のデータは、病的に変化するばかりではなく、検体の取り扱いの不備にも影響されます。

 

認知症の予防と改善に水

2018年01月20日

認知症の予防と改善には、1日1500 mlの水が有効です(国際医療福祉大学:竹内教授)。人間の身体の多くは水分で構成されており、その含有量は子供では約75%であるのに対して、成人では約60%、高齢者では約50%へと、加齢とともに減少していきます。水分量が減少して細胞が脱水状態になると、意識レベルが低下して物忘れが多くなり、ひいては認知症になり易くなります。

竹内教授の研究によれば、水分摂取の量と物忘れの度合いは相関関係に有り、水を飲ませると覚醒水準が上昇するとのこと。既に認知機能が衰えて、徘徊や大声を上げるなどの症状も、十分な量の水分摂取(1日当たり1500 ml程度)で短期間で劇的に改善する症例が多いとのことです。

水分の摂取は、熱中症の予防や心筋梗塞、脳梗塞の予防にもなりますので、こまめに飲むようにして下さい。ただし、腎臓病や心臓病の方は水分制限がありますので、多量の水分摂取はできません。これらの疾患のある方の水分摂取量は、担当医の指示に従って下さい。